高原のお嬢さん
動画ポイント対象
330円
蓼科高原の朝は爽やかさが胸の底まで浸みわたる。さまざまな小鳥のさえずりにまじって時おり乳牛ののどかな鳴き声が静けさをやぶる。北川和夫はここたてしな農場の一隅にたてられた小さな小屋で実験用具や参考書類にうずもれながら冬期も青い芽をふく新しい牧草の研究に没頭していた。
和夫は死んだここの主人遠藤善吉にひろわれ家族同様に育てられた恩にむくいるためにもこの研究を引き継いでやっているのだ。いまでは現農場主の加代未亡人やその娘の光子にすっかり頼りにされていた。
ある日牧夫のサブと街に通りかかったとき、和夫はいままで感じえなかった新しい、素晴らしい胸のときめきをおぼえた。それは迷子になった年男少年のいう”小ちゃいママ”の出現だった。「ほんとに済みませんでした」。会釈して年男の手をひいていく彼女の後姿を和夫は名残惜しそうにいつまでも見送っていた。
- ジャンル
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制作国
日本
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制作年
1970年以前
- キャスト
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スタッフ
企画 : 笹井英男 脚本 : 千葉茂樹、柳瀬観 監督 : 柳瀬観 協力 : 蓼科観光協会 撮影 : 上田利男 照明 : 安藤真之助 録音 : 橋本文雄 美術 : 川原資三 編集 : 近藤光雄 音楽 : 池田正義 助監督 : 近藤治夫 製作担当者 : 山野井政則 スチール : 寺本正一 主題歌 : コロムビア・レコード