二階堂卓也・銀座無頼帖 銀座旋風児
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二階堂卓也が銀座の”旋風児"と呼ばれ、”退屈男”などと噂されるのは、もっぱらその神出鬼没な行動によるものだった。
装飾デザイナーという職業柄か、粋なダスターを風になびかせ、アッというまに来ては去る疾風のような伊達男ぶりが、悪に挑戦する正義の潤歩であることを知る者は少い。
しかし、その男らしさに魅かれる夜の蝶たちの嬌声は、銀座の柳もソッポをむくほど大変なものである。
そんな卓也の疾風のような行動が日増しに烈しくなったのは、このところ王徳宝と名乗るボスが、大粒のタイヤを売りさばいては、キャバレー”モナコ”の建築資金にあてていることに不正を探知したからだった。
ある日、王が急に香港へ飛ぶ報せを情報屋の政から受けた卓也は、すぐさま王の後を追った。 その香港の夜、卓也王を狙撃しようとした謎の日本女性村越明子と知り合った。
明子が王を狙ったのは、戦時中、軍属だった王徳金、実は堀田剛造を交えた-村利策、木原銀次郎、丸山進之助の四人にスパイと密告され、あえない最後を遂げた父村越雄二郎の復讐のためであった。
そればかりか堀田は終戦と同時に、国民が強制献納させられた莫大なダイヤを奪い、王徳宝という第三国人になりすまし、銀座のボスになりあがっていたのだった。
この秘密を知った卓也は、明子を村越明人として男装させ、「国民のものは国民にかえせ!」という四人に対する挑戦広告を東都タイムズに依頼するや、男装の明子を連れて再び羽田空港に戻った。
その日、キャバレー”モナコ”の奥の一室では、王、中村、木原の三人がこの広告を見て慄然としていた。
木原の娘久美子の婚約者である東都タイムズの荒木もこの広告を見ると、木原が何か事件に関係があると見て活動を始めた。
この荒木の活動を期に、卓也は荒木あてに手紙を明子にと、けさせた。
木原銀次郎に告ぐ、真下にもし一片の良心あらば九月二十五日、九時三十分に新橋の土橋のたもとにて待て。村越雄二郎。
荒木はすぐさまこの時間間際に木原と会い秘密を聞きただそうとしたが、一瞬のすきに何者かによって殺されてしまった。
真相を知る卓也は、東京地検の斉土検事に木原殺害は、王一味が秘密発覚を恐れてやったことを知らせた。
「黙っていたんでは木原の娘が犯人は村越雄二郎だと思うでしょう。荒木記者もそう考えている。無論、王徳宝と中村はそれをい、ことにしている」
その頃、王一味は案の定秘密の発覚を恐れてまず荒木殺害を依藤組に依頼すべく打合せをしていた。
しかし、荒木は卓也の真相発表を聞くために美術研究所に呼び出されていた。
卓也の口から驚くべき秘密を聞かされた荒木は、卓也とともに行方の知れぬ丸山進之助を生証人とするため探索を始めた。
その丸山は、卓也に想いを寄せるおでん屋お春の店の常連で、王一味を脅迫していたが王の奸計に落ちてモナコの地下室に閉じ込められていた。
モナコのボーイになりすましていた情報屋の政からこの報せを受けた卓也は、単身王の巣窟に乗り込んだ。
一瞬卓也の鼻先を皇の銃弾がかすめた。
「フフフ……銀座旋風児も地におちたな。あんな小細工で俺がだまされると思ってもらっちゃ切ないぜハハハ……馬鹿奴!」
卓也に想いを寄せる王の情婦マキの助けも効なく、ジリジリと迫る地下道の巨大なマンホールに足をとられた卓也の頭上に、王の残忍な哄笑が続いた……。
「馬鹿奴!その先は海だ! 魚の餌食になりやがれ!ウッハハハ……」
キャバレー”モナコ"の開店の夜。ホールは仮装マスクをした男女で一杯になった。
「今晩は皆さん、王徳宝こと日本人堀田剛造に代りまして厚く御礼申し上げます」
この司会者の言葉に王ははっとなった。
「ハッハハ...海のもくずになくなくて悪かったな。如何にも銀座旋風児二階堂卓也よ!」
「先ず第一貴様たちに大陸で無実の罪に落された村越雄二郎の娘明子を見ろ!」
明子が楽団貝の中からスックと立ちあがった。
不死身の銀座旋風児、一世一代の大芝居に客たちはヤンヤの喝采を拍した。
生証人丸山進之助、情報屋の政をつきつけられた王一味は、完全に袋のネズミとたった。
”銀座旋風児!! 数億円の貴金属国民の手にもどる!! 昨夜堀田一味逮捕さる!!”
翌朝の東都タイムズは、旋風児の活躍を報じた。
卓也は、喫茶店アマンドでこの新聞を見ていたそのとき、お春を先頭にマキ、明子、菊千代が飛びこんできた。しかし、テーブルには一枚の紙片がのこっているだけだった。
”風ノ如クマタカエリ来ル"
ダスターコートを羽織った卓也は、すでに雑谷の中へ消えていた……
- ジャンル
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制作国
日本
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制作年
1970年以前
- キャスト
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スタッフ
企画 : 茂木了次 原作 : 川内康範(森脇文庫版) 脚本 : 川内康範 監督 : 野口博志 撮影 : 永塚一栄 美術 : 小池一美 録音 : 高橋三郎 照明 : 河野愛三 編集 : 辻井正則 音楽 : 小川寛興 助監督 : 柳瀬観 製作主任 : 園山蕃里 スチール : 荻野昇 主題歌 : コロムビア・レコード