対決
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大正末期から昭和にかけてのここ上州、富河原ーこのあたり一帯に二代続けて勢力をはっていた芝寅一家は、最近その縄張りを新興やくざの高安一家にくい荒らされて怒り心頭に発していた。
親分芝田寅吉は度重なる高安の無礼なふるまいに遂に腹をきめて闇討ちを計画、二人の代貨大竹清太郎、銭山亀吉を呼びつけた。
その結果、銭山が闇討ちをまかされ、清太郎は留守番をつとめることになった。
親分の命を受けた我山は早速仕事にとりかかり、丁度助っ人に駈けつけた客人、満州常それに子分多数をひきいてその夜高安一家へいっきに殴り込みをかけた。代貸清太郎の弟で根っから喧嘩好きな直二郎も、親分に内緒でこっそりこの喧嘩りに参加している。
ふいをつかれた高安一家は屈強の男、満州常と直二郎のめざましい活躍にたちまち押しまくられ芝寅一家の圧倒的勝利に終った。ただ残念なことに高安親分とその代貸益子、島崎の三人はとり逃していた。
だがもはや高安の首る時間の問題と安心しきった芝寅親分は、翌る晩、料亭「貴久」で芸者をあげての大宴会を催した。会場は満州常の命を助けた直二郎の話題でにぎわった。これを機会に芝寅は、将来三代目を直二郎にゆずると同時に「貴久」の娘おしんと夫婦にすることも考えていた。
一方、そんなことには無頓着、一人片隅で酒を呑んでいた精桿そのものの満州常は、芸者の小吉にほれられてすっかり上気嫌だった。
派手な宴会がやっと終りに近づいたそのとき、猛然、高安親分が残党をひきいて必死の殴り込みをかけてきた。電球が割れ暗闇の中で血しぶきが舞いあがり決斗は一瞬のうちにケリがついた。が何とここには高安、芝貨両親分の死体がころがっていた。
事の大きさを重視した芝寅の代貸銭山と清太郎は仕方なく直二郎を殺しの代人に立てて容察へひき渡すことにした。
網走刑務所ー。泣き叫ぶおしんをあとにした道二郎はここで苦しい囚人生活が始った、ときには野外作業中、両者のさしがねで命を狙われたこともしばしばあった。
そして六年後の春。直二郎はようやく出所を許されてシャバへ出てきた。だが久しぶりに見る富河原の町は一変していた。直二郎の兄、清太郎は乞食同然ほおり出され、芝黄一家の三代目は銭山ひとりが平然と継いでいた。
しかもどうしたわけか銭山は、かつての敵である高安一家の代貸益子建、島崎久七と手を結んでいた、益子は町一番の女郎屋をやり、島崎は織物工場を経営しながら、ときどき女工を益子の女郎屋へ売りとばしているという。また料亭「萬久」もいまわなく直二郎に想い寄せていたおしんの行方もわからなかった。
その夜、直二郎は、希み屋の前で我山の子分らが清太郎を装だたきにしているのをみで激しい怒りがこみあげていた。やくざ共を徹底的に叩きのめすや単身で我山一家へ乗りこんだ。そして芝寅の後を継ぐのもいいが敵である益子、島崎とは縁を切れ、話はそれからだといってやった。
その帰り道、直二郎は益子のチンピラに追われていたお光という女工と芸者小声を助けてやった。お光は遊廓へ売られるところだったという。チンピラの口から捜していたおんの居所もわかった。おしんは遊廓、福富接で病身に鞭うちながら客をとらされていたのだった。変りはてたおしんの姿をみた途端、直二郎は気が狂わんばかりだった。迫ってきた益子の子分らを前に「俺の女房に指一本触れてみやがれ!」と怒りを爆発、暴れに暴れまくった。が途中でおしんは自害を計り、直二郎もとらわれの身となってしまった。
益子は勝ち誇った笑を浮かべながら、直1邸を折檻部屋にほおりこみ麻網の検と水責めの凄惨なリンチを開始した。やがてやってきた銭山がこれを制そうとしたが血走った恭子はいうことをきかない。それどころか銭山にまっこうから楯を突き、日頃のうっぷんをはらうべく直二郎の前ですべてを暴露してしまった。六年前芝筑親分が死んだのも、実は銭山が助っ人の満州常を使って計画的に殺ったこと、また清太郎を叩き出し、一方で刑務所に居た直二郎も消そうと計っていたことも......。次の瞬間「貴様、裏切ったな!」銭山のドスがたちまち益子の心臓にいこんでいた。
翌朝、全身傷だらけの直二郎は桶に入れらて山中へ向った
間一髪で生き埋めになる寸前、突然あらわれた類っかむりの男に助けられた。諸肌に月光菩薩の刺青もあざやかな満州常だった。
「直さん、これで六年前の命の借りは返したぜ......」常は直二郎を小吉の家にかくまうと何くわぬ顔で我山のところへ顔を出していた。
直二郎はやがて正気を取り房したが、自分が親分の仇である常に助けられたとあっていても立ってもいられなかった。同様にかくまわれたお光と一諸に病む身をおして表へ飛び出してしまった。
だが銭山一家の見張りが厳しくまたや満州常に助けられるハメになった。
やがて直二郎はお光の案内で島津の織物工場にしのびこみ、女工宿舎でしばらく身をかくしながら傷の回復を待つことにした。
そのころ、銭山は直二郎を逃した犯人が客人の満州常と知って烈火の如く怒り、小吉を人質に常をつかまえていた。
二、三日たって傷もすっかり回復した直二郎は島崎を一刀のもとに斬りつけるとその足で銭山が開張している信勝寺の賭場へ駈けつけた。そこの納戸には満州常と小吉が縛られていた。直二郎は二人を救い出した後、車裡にいる銭山めがけて斬りかかった。だが我山はドスを突き刺したのは直二郎ではなくいち早く駆けつけた清太郎だった。その清太郎もたちまち岩三ら子分に滅多斬りにされてしまった。
そして遂に直三郎と満州常の宿命の対決のときがやってきた。
雨の降りしきる信勝寺のの境内で、ドスを抜きはなった二つのかたまりが一瞬激しくぶつかりあった......。
- ジャンル
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制作国
日本
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制作年
1970年以前
- キャスト
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スタッフ
企画 : 高木雅行 脚本 : 池上金男、舛田利雄 監督 : 舛田利雄 撮影 : 萩原憲治 照明 : 宮崎清 録音 : 福島信雅 美術 : 木村威夫 編集 : 井上親弥 音楽 : 真鍋理一郎 助監督 : 小沢啓一 製作担当者 : 戸倉寿 スチール : 土屋豊