毎日がアルツハイマー
動画ポイント対象
330円
母は、2009年以来、認知症が進行する中、中核症状である記憶障害の低下が、著しくなり、2012年2月現在、判断力、理解力も、徐々に失われつつある。そんな母だが、認知症発症後、以前とは、見違えるように<喜怒哀楽>が、ハッキリとし、明るく、あけすけな性格へと豹変した。母は、嬉しい時も、怒る時も、悲しい時、そして、楽しい時も真剣で、本気である。母の脳には、感情がしっかりと残り、今までよりずっと感性が、鋭くなった。
「毎日がアルツハイマー」の構成は、2009年からのエピソード時系列を基軸に、2011年3月11日の東日本大震災を折り返し点に、母の<喜怒哀楽>を通して、母のアルツハマーの世界を描くものである。
・プロローグ
2009年9月22日、母は、79歳になった。母は、大好きなモンブランのケーキにたてられたローソク3本の火を一気に消し、ご機嫌だ。しかし、数日後、誕生日を祝ってもらったことをすっかり忘れ ボケた~ ボケた~ ボケた~と自ら明るく歌う母。
・喜
遂に、色々なことから解放された母。その中でも<世間体>から解放されたことが、一番の喜びなのではないかと思う。母は、本能のママ、自分の好きなように1日を過ごす。今は、昼夜逆転、まるで反抗期のティーンエージャーのような生活パターンだ。そのことを指摘すると、母は、何も言わず、ニヤリとするのである!
・怒
母は、憤怒のかたまり、と言ってもいい。ゴミ出しをきちんとしない人から、政治家に至るまで、母は、憤る。認知症になっても、母は、正義感が、強く、しょっちゅう憤る。実際のところ、この母の憤怒の根源を探る事が、母の人となりを理解することになるのではないか。
・ 哀
母の哀しみは、母の<閉じこもり>という形に出ている。何でも出来て能力の高かった母が、ここ1~2年で色々なことが出来なくなってしまった。お金を下ろせなくなり、買い物が出来なくなった。多分、このことを一番辛く思っているのは、母本人だろう。2010年8月、高3の姪っ子最後の吹奏楽部定期演奏会のために外出したのが、最後になった。「だらしないのに、頭が狂っている。」という母のノートを見つけたのもこの頃だった・・・その後、母は、要介護3という認定を受けた。
・ 楽
母は、文句なく、孫たちと過ごしている時間が、一番楽しそうだ。私の息子と妹の末っ子は、同い年の12歳で小6だ。 母は、この2人には、とても反応が、いい。母にとって、孫2人は、守るべき存在だからか。と、殊勝に考えている目の前で、母は、12歳の姪っ子と頭の叩き合いをして「あ~人を殴るって、気持ちいいなあ。」と叫ぶのだ!
・ 折り返し点で、東日本大地震発生!
2011年3月11日、東日本大地震発生。私は、ずうっとカメラを回し続ける。母は、とっさに地震の深刻さを理解できず、避難勧告を無視し、1人、トコトコと家に戻って行く・・・この巨大地震は、現在進行形で、母の混乱を一層深め、不安を徐々に助長していく。
・エピローグ
母と暮らし始めて2回目の春が、巡り、夏が、通り過ぎ、秋になり、冬を迎えた。桜は、未曾有の国難の中、いつものように咲き乱れ、夏のミンミン蝉が、鳴き止むと、つるべ落としのように日が暮れ始めるようになった。迎えた今年の冬は、寒さが厳しく、母は、益々引きこもっている。母は、このまま家から出ないのだろうか・・・いや、諦めないぞ!そんな母を何とか外に連れ出そうと私は、アレコレと画策する。そう、「毎日がアルツハイマー」は、現在進行形長編動画なのである!
- ジャンル
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制作国
日本
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制作年
2010年代
- シリーズ
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スタッフ
企画・製作・監督・撮影・編集 : 関口祐加 プロデューサー : 山上徹二郎 ライン・プロデューサー : 渡辺栄二 アソシエイト・プロデューサー : 栗尾知幸、北岡賢剛、大和田廣樹 エグゼクティブ・プロデューサー : 渋谷昶子 共同編集 : 大重裕二 整音 : 小川武 AD・編集助手・撮影協力 : 武井俊輔 イラスト : 三田玲子 特別協力 : シネマテーク動画教室、バリアフリー映画研究会 推薦 : 厚生労働省 後援 : 公益社団法人 日本老年精神医学会