ボイジャー 2,093件 人気順 新着順 主題と変奏 片岡義男 かつての家は現在の家だ 作家と女優がいる。同じ高校出身の旧知の仲だ。年齢は女優のほうが2歳上。ある日女優は、ふだんめったに乗らない京王線に乗り、車窓から、かつて自分が一時期を過ごしたことのあるなつかしい家がそのままで残っているのを発見する。その家には二人の鮮烈な思い出があり、二人の、女優であることと作家であることにつながっている。その家の近所の喫茶店もまた、20年以上の時を経過して、やはりまだ健在という演出も心憎い。二人は昔の思い出のつまったその家を訪ね、あらためて現在の輝きを更新する。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 センティメンタルではない理由から 片岡義男 殺意と反射、その20年 20年。長い時間だ。20年かけて男は二人の女に会う。20年前は母親のほう。そして20年後の現在は娘のほう。二人は共に28歳である。20年前に自分の中に刻印されてしまった憎悪が男にはある。その20年前の出来事を描写するのに、~た。~た。~た。の短いセンテンスをひたすら続けていく文体のアクションがすばらしい。さあそして20年後の今。男の憎悪はようやく解放の時を迎えるのだろうか。女も、男も、それぞれピストルを所持したその状態ではたしてどう展開するのだろうか? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 東京青年 片岡義男 「東京は激変するよ。だから東京を撮っておくといい」 1950年代から60年くらいの東京を舞台にした長篇小説。作家と同じヨシオ、という名前を持つ若者が登場する。彼が高校生から大学生にかけて接触する女性たちは、すべて年上だ。変わってゆこうとしている東京の街で、ヨシオは女性たちに学び、まだ何者でもない自分の中に核のようなものを作ろうとしている。そしてこの小説は高度成長期の、前を向いたエネルギーばかりでなく過去を確かめ、過去の連続の中に現在があることも大切にしている。そのことを端的に現すのが、この小説における写真の役割であろう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 道順は彼女に訊く 片岡義男 これは謎についての小説ではなく、関係についての小説である 一人のフリー・ライターがいる。彼は引越しに伴う書類の整理中、ふと昔の雑誌記事に目を留める。5年前、25歳の女性が失踪したことをめぐる記事だ。記事と、その後どうなったかについて興味をそそられた彼は、取材を開始。多くの人物に会う。記事を書いたライター、失踪した女性の友人、両親……調べながら彼は、これは犯罪や事件ではなく、失踪者自身の意志ではないかと推測するに至る。そして作者が「あとがき」で書くように、小説の核心は、なぜ? という謎以上に女性を中心とした関係性そのものにあるのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 無人島へ連れていく人 片岡義男 すべてがうまくいく撮影の成り行き 写真家がいる。パートナーとして優秀な編集者もついて新しい写真集の企画が持ち上がる。写真家と編集者は語り合う。アイディアが拡がる。そして、瀬戸内の島でヌード、ということになる。これだけなら凡庸に聞こえかねないが、ここから完璧な島と完璧なモデルを見つけ出す。島は瀬戸内の歴史を色濃く残す奇跡のような島であり、モデルはその体の均衡、撮影に対する理解力など、パーフェクトだ。撮影が進んでいく様子が、次々に小気味よく描かれる。もっともらしい試行錯誤の場面などはなし。それが片岡義男の小説である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 ラハイナまで来た理由 片岡義男 イージー・チェアから見えた世界 ハワイ。作者・片岡義男の祖父が、父が住んだその場所のことを書いた渾身の長編。優れた農業技術者だった祖父。その息子である「僕」の父は、アメリカ軍の軍人だった。そして姉が異母姉であることが姉弟関係に微妙な影を落とす。アメリカと日本のあいだにあるハワイという場所にあった歴史。家族写真。アロハ・シャツ。コナのコーヒー。古いビートル。ヴェトナム戦争。エルヴィス・プレスリー。「僕」は今、父が作った庭を、父がイージー・チェアに座って絶命する瞬間も見ていたであろう庭を、同じ位置から見ている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 伊集院大介最後の推理 栗本 薫 著者逝去の前年の作品を含め、単行本未収録の伊集院大介シリーズ5編を収めた、文字通り大介最後の推理。 伊集院大介シリーズお馴染みのキャラクター、山科警視、森カオル、伊庭緑郎、滝沢稔ことアトムくんほか、『ほくらの時代』の栗本薫も登場する作品集。「月光座 金田一耕助へのオマージュ」では伊集院大介と金田一耕助が共演、「幽霊座」での耕助の推理をリスペクトを湛えつつ伊集院大介が新たに解き直すという趣向も。栗本薫逝去の前年に書かれた「誰でもない男――伊集院大介の秋思」など5編を収録し、伊集院大介の文字通り最後の推理を収める。 【著者】 栗本薫 1953年東京生まれ、2009年に病没。1977年に群像新人文学賞評論部門を、1978年に江戸川乱歩賞を受賞して文壇デビュー。1981年には吉川英治文学新人賞を受賞。小説は栗本薫名義で、評論などその他の活動は中島梓名義で発表する。正伝130巻、外伝21巻のグイン・サーガ・シリーズ始め、SF、ミステリー、時代小説、耽美小説などさまざまなジャンルに渡る400点を越える著作が刊行された。 495円 死を卒業する 畑村達 90歳の終活ブログ。戦中派世代の生き残りが、戦争の教訓を書き残し、日本の未来に役立ててほしい。 90歳の終活ブログ。2010年から連載中のブログ「われら老年世代!」の中から選択・編集した。 人生のゴール・死を見据え、戦中派世代の生き残りが、戦争の教訓を書き残し、日本の未来に役立ててほしいと願う。 【著者】 畑村達 1926年、山口県生まれ。九州帝大工学部中退。教諭、司書、大学職員を経て日本文芸家協会会員。主な著書に「海と廃虚の街から」「昭和天皇と侍医長の死」、電子本「ブレメリアイノ 大雪山の幻」「嗤う瀧」など。 330円 バランスビーム 象太郎 まっすぐ、高校体操 小学生のナツミは、運動はといえば近所の公園で孤独に鉄棒やブランコで遊ぶだけ。だが数年後に入学した都立高校で選んだ部活は、なぜか都内でも強豪の体操部だった。憧れのエース麻子さん、キャプテン広子さん、気になるクラスメートの次郎らと触れ合いながら成長していく部活少女の青春小説。 【著者】 象太郎 1970年北海道生まれ。東京都在住。 440円 愛とハッピー・エンディング 片岡義男 人工の女、自然の女 作家は常にストーリーを考えている。女性だ。彼女の担当編集者もまた女性。彼女は時に一人でストーリーを考え、それを今一度確認するように編集者に披露する。今書きつつあるのは、ジェンダーを越境する人物の小説。女なのに男の意識で生きてきた人。女になりたい男。その男から「女であること」の何たるかを吸収したい女。作家の趣味が全国の防波堤を見て回ること、という設定が象徴的だ。防波堤とは、陸の力と海の力が激突する場であり、それは性の境界を思わせるものでもある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 青い色の短篇集 片岡義男 2人の家は、今夜、3人になった 男性の住まいに、居候させてほしいと女性がやってくる。同居しているもう一人の女性の都合でしばらく家を明け渡さなくてはならないようだ。快諾した男性とくつろいでいると彼の姉が帰ってくる。ここは彼と姉の家なのだ。いつもは姉弟の家に、今日はプラス女性が一人。そのあと3人で観る映画がまた、兄弟と女性一人の関係を描いたものだった(この映画、あきらかにある作品を想定したものと思われるが、当ててみてください)。このあと、特別な何かが起きる? 起きない? それはぜひ、読んでお確かめください。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 秋の夜長とは 片岡義男 眠ったら、けっして目を覚まさない女性の傍らで 28歳の女性がいる。出張先でさんざんな思いをして疲れ果てた彼女は同い年の友人を呼び出し、食事をし、酒を飲み、息を吹き返す。そこに友人の親しい男友達を呼び出し、宴は3人になった。ところで出張から帰って来た彼女にはお酒が入ると眠ってしまうクセがあった。その日もやはり眠ってしまい、残り二人はようやく部屋に運び込む。一度眠ったら絶対に起きない彼女の隣で二人はセックス。そして戯れに、この眠っている彼女に挿入してみよ、とそそのかす。さあ、男はどうする……という、秋の夜長の短篇小説。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 アメリカの青い色 片岡義男 やってきて、去っていくアメリカの青 金髪。そして美しい青い瞳。アメリカからジャズ・ピアニストの女性がやってくる。右も左もわからない彼女を迎えに行き、なにかと世話するのは、彼女と同じエージェントに所属する男。彼もまた同じくジャズ・ピアニストだ。アメリカと日本、二つの国で共有されている古い歌、それらの演奏を通じて彼らは親密になり、彼女の日本滞在は心地良いものとなる。しかしながら彼女には、実は壮絶な過去があった。親密になれたからこそ語られたその過去と、ある預かり物を残して、彼女は次なるアジアの国へと旅立って行く。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 海をもらった人 片岡義男 海をめぐる二つの小説 ビターな味わいの小説である。まずは、おだやかな家族の風景から一転して悲劇が訪れ、しかしその悲劇は小説として書かれたものだった、という仕掛けから始まる。そして物語の視点は、その悲劇の小説を編集者として受け取った男のものとなる。その男は海辺で偶然、かつての知り合いと会い、その知り合いが小説を書こうとしていることを知る。知り合いの書いたものを読んでみると……そこに悲劇は無いが、編集者には不徹底な失敗した小説としか思えない。最初も最後も小説に係わる、あくまでビターな作品である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 男嫌いと言われた 片岡義男 二度めには道があった 一組の男女がいるホテルの部屋。この小説は、その部屋から一歩も出ない。いや、正確には出るのだ、彼らの頭の中の思い出として。今日は、二人が出会ってちょうど1年目の日。そして女性の誕生日だ。二人の会話は、あからさまに二人がこれまで交わしてきた行為のこと。互いの身体をほめ合い、自分たちの相性を喜び、論じ、時に発見があって、飽きることがない。男嫌いと言われてきた女性が変わったのだ。彼女の中には男性を受け入れる「道」がなかった。しかし2度めからすぐに道ができ、彼は喜んでそこに挿入する。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 思いがけないベッドの上で 片岡義男 その複数の声を、一人で聞くということ ホテルに一人の女性が滞在している。彼女は朝食を取るために下まで降りていくがウォークマンを携帯させている。そこにはテープが挿入されており、いま、彼女は、その音声をイアフォンごしに聞きながら朝食の時間を楽しんでいる。そのテープには、2週間前に女性3人でさんざんに語り合ったことが録音してあるのだ。その時の熱気。口調。辛らつさとあけすけな内容。それらが朝の彼女の頭蓋の中に響き渡る。そしてその会話のあとの行為についても思い出している…… 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 思い出の十二号埠頭 片岡義男 そして十年後も豪雨の日を迎える 女には、恋人と呼んで差し支えない相手がいた。その男が、話をしたい、ということでセダンで迎えに来る。女は激しい気性で、日本車の惨めさについて、戦後日本社会の貧弱さについて意見をぶちまける。やがて天候が変わり、湾岸線を走る車の上に豪雨が訪れる。彼女は豪雨の中、危険も顧みず、途方もない行動に出る……それからちょうど10年後の同じ日。また同じような天候だ。はたして彼女は何を思うのか? 短篇「八月の上半身」に話題としてのみ出てくる女性がここでは主人公。ぜひ、併読をお勧めしたい。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 会話の内容 片岡義男 二人しか知らない会話の内容 自信に満ち、幸福な女性二人は共に28歳。二人は熱心な会話に余念がない。コーヒーを飲みながら、あるいはベッドの上で尽きることのない会話はあふれてくる。その内容はズバリ、男性が勃起する、ということの笑ってしまうほどの豊かさについてだ。二人は勃起についての経験を語り合い、女性との係わりについて考察し、それを常に手許に置いておくために模型を作ろうかと話し……彼女たちをあれほど充実した表情にしているものの正体を知っているのは作者と読者だけ(他の作中人物は知らない)だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 紙の上にクレヨンで 片岡義男 姉という無限のバリエーション 女は大学教授。男は小説家。二人はホテルで会い、そこで男女の営みをふんだんに行い、ある時は日本の経済や社会構造について長く突っ込んだ会話を交したりもする。いささか奔放な、とはいえそれなりによくあるインテリ同士のカップルといえそうだがしかし、小説の冒頭からこの二人が姉と弟であると知らされる読者としてはやはり戸惑いと共に読み進めることになるかもしれない。弟が書く小説の女性はすべて、この姉なのだという。姉は無限の色彩を持つクレヨンであり、弟は真っ白な紙だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 彼は孤独を深める 片岡義男 謎の女を書く ある日、急に目の前に現れ、またある日、まさかこのままになるとは思わず、別れてしまった女がいる。男はそのことを悔やみ、いつまでも忘れられない。そのことをバーの主人に切々と語っているがまさにそのバーカウンターの内側にこそ、その女がいたのだった。女々しい、と形容することは簡単だが、主人はその女を「小説に書きなさい」と言う。書くことで、いつまでも謎の女であり続けるのだ。しかし、その前にまた女が現れたらどうなる? それはわからない。なにしろ男は、まだ書き始めてもいないのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 1 ... 787980 ... 105 TOP 電子書籍(本・小説) ボイジャー 79ページ目