無人島へ連れていく人
片岡義男 275円
あらすじ
すべてがうまくいく撮影の成り行き
写真家がいる。パートナーとして優秀な編集者もついて新しい写真集の企画が持ち上がる。写真家と編集者は語り合う。アイディアが拡がる。そして、瀬戸内の島でヌード、ということになる。これだけなら凡庸に聞こえかねないが、ここから完璧な島と完璧なモデルを見つけ出す。島は瀬戸内の歴史を色濃く残す奇跡のような島であり、モデルはその体の均衡、撮影に対する理解力など、パーフェクトだ。撮影が進んでいく様子が、次々に小気味よく描かれる。もっともらしい試行錯誤の場面などはなし。それが片岡義男の小説である。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/