愛とハッピー・エンディング

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あらすじ

人工の女、自然の女

作家は常にストーリーを考えている。女性だ。彼女の担当編集者もまた女性。彼女は時に一人でストーリーを考え、それを今一度確認するように編集者に披露する。今書きつつあるのは、ジェンダーを越境する人物の小説。女なのに男の意識で生きてきた人。女になりたい男。その男から「女であること」の何たるかを吸収したい女。作家の趣味が全国の防波堤を見て回ること、という設定が象徴的だ。防波堤とは、陸の力と海の力が激突する場であり、それは性の境界を思わせるものでもある。

【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/