戦術の教科書

購入した作品の読み方

あらすじ

「フットボール批評」の人気連載が待望の書籍化!

世界的な戦術研究の第一人者である著者が

日本のサッカーファンのために書いた、サッカー戦術本の決定版。





戦術とは何か。「ゲーム(勝負事)」を、どこまで支配し得るものなのか。

 洋の東西を問わず、この種の議論がますます盛んになってきている。

戦術論が普及すればするほど、根源的な問いかけがなされるようになってきたのは、

フットボールという競技自体の進化にとって、極めて好ましい兆候だろう。

3-4-2-1やプレッシングといったコンセプトを生み出してきたのは、予測不可能性を極小化し、

自らのイデア(理想)を具現化しようとする情熱であり、ひたむきな使命感でもあるからだ。

 その事実を理解して初めて、ピッチ上に描かれる魔法陣の秘密は解き明かせるといってもいい。

本書はイギリス人の戦術史家、ジョナサン・ウィルソンとの共作になるが、僕たちが一貫して目指してきたのも、

歴史的な文脈をしっかり踏まえたうえで、時代の最先端を行く戦術論の見取り図を、読者のみなさんに提示することだった。

 とはいえ、ジョナサンと戦術論の本を出版するのは実に不思議な気がする。

彼は戦術論の大著を以前にも上梓しているが、もともとフットボールのジャーナリストを志していたわけではない。

さらに言うなら、戦術分析が専門だったわけでもなかった。

(「はじめに」より一部抜粋)



【目次】

Episode.1 戦術トレンド概論 プレッシングか、ポゼッションか、それが問題だ。

Episode.2 60年ぶりに戻ってきた3バック

Episode.3 アンチカウンター理論としてのゲーゲンプレス

Episode.4 ゼロトップはどこへ消えたのか

Episode.5 ベンゲルと4-2-3-1の行方

Episode.6 10番/トップ下論 エジルが象徴するクリエイティビティのジレンマ

Episode.7 ゾーン・ディフェンスがカバーする領域

Episode.8 アンチ・フットボールの誘惑と憂鬱

Episode.9 レスターと4-4-2に未来はあるか

Episode.10 ポチェッティーノが受け継ぐ、ビエルサイズム

Episode.11 アンチェロッティ式、「ハイブリッドマネージメント」のススメ

Episode.12 モウリーニョが抱えるスペシャルな懊悩

Episode.13 ウイング論 左翼と右翼のウインガー

Episode.14 理想主義者、ペップ・グアルディオラの挟持

Episode.15 GK、100年の孤独

Episode.16 ディープ・ライイング・プレーメイカーの誕生



column.1 共産主義思想としてのプレッシング

column.2 コレクティブカウンターの衝撃