「平穏死」を受け入れるレッスン
あらすじ
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親や配偶者の看取りに不安を感じる人、
「いのち」や「死」とはどのようなものかを知りたい人、
人生と医療との関わりを見つめ直したい人、
――そのような人に必ず読んでほしい本です。
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「いつまでも生きていてほしい」
けれども、
「できるだけ楽に逝かせてあげたい」
人生の最終章を迎える人の家族は、誰もがジレンマを抱えています。
そのジレンマに、「平穏死」提唱者であり、60年命と死に向き合ってきた医師が答えます。
2015年秋に放送された、石飛医師が常勤医を勤める芦花ホームを取材した、
NHKスペシャル「老衰死 穏やかな最期を迎えるには」は大きな反響を呼びました。
2010年に石飛幸三医師が提唱して以来、自然な老衰死のあり方と、
その穏やかな看取りとして「平穏死」の考え方が徐々に浸透してきました。
胃ろうをつけた寝たきりの人も、この6年で60万人から20万人に減ったといいます。
しかし現在でも、無理な延命治療によって穏やかな老衰死が妨げられてしまう実情があります。
なぜなのでしょうか?
皮肉にも、本人の意思の「代行判断」を迫られた家族の「情」が、
安らかな大往生を妨げてしまっていたのです。
多くの人が、「自分の終末期には無理な延命をしないでほしい」と望んでいます。
しかし自分の親が年老い、老衰や病気になると、本人にとって苦しみでしかないと頭ではわかっていながら、
医師の勧めに従い延命措置を受け入れてしまうことも多いのです。
自然の摂理としての死が、家族にとって「悲劇」という受難になってしまうのです。
別離は悲しい。悲しんでいいのです。悩み、迷うことは当然です。
でも「命より大切なものはない」という考えにとらわれてしまうと、当人の尊厳が失われてしまいます。
延命治療を決断した家族自身も、また苦しんでいるのです。
本書では、親や配偶者の死と向き合う家族の声に耳を傾け続けてきた石飛医師が、
タブー視されがちな家族の「情」について、丁寧に論考を重ねます。
悩み苦しむ家族に向けて、大切な人を幸せに見送る心の持ちようや看取り方を提示します。