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  • 峠―慶次郎縁側日記―は、慶次郎縁側日記シリーズの小説です。慶次郎縁側日記シリーズは、人情ばなしで、読んでいるとほんわかと心があたたかくなる余韻が残るような気がしますが、今回の作品では、女性なら強く共感する作品が数点収録されています。なかでも、私の印象に深く残ったのは、「蝶」です。「蝶」では長らく夫に虐げられてきた女性が自分から三行半をつきつけ、出ていくところから話が始まります。途中、女性の回想シーンでの姑の一言は、読んでいて胸が痛くなりました。手を出さなくても、言葉で人を打ちのめすことってあると思います。それを目撃してしまったような、やりきれなさを感じました。だから、女性が三行半をつきつけたことは、全然間違っていないし、物語の結末まで読むと亭主がちょっとかわいそうにもなりましたが、今まで苦労した女性だからこそ、今度こそ幸せにのびのびと暮らしてほしいなと思いました。

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    アンズジャムさん
    2015/05/14