峠―慶次郎縁側日記―(新潮文庫)

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北原亞以子 770円 ※PCブラウザ非対応作品です。スマートフォンアプリから閲覧できます。
購入した作品の読み方

あらすじ

山深い碓氷峠で、思いがけず人を殺めた薬売りの若者。江戸に逃れ、別の人間になり変わって生きようとするが、過去を嗅ぎつけた者たちに狙われ、底知れぬ運命の変転に呑み込まれることに。一瞬の過ちで人生の「峠」を踏み外し、幸せから遠ざけられて捩れてゆく人間たちに、慶次郎の慈悲の心は届くのか――。晃之助、玄庵、佐七ら、お馴染みの面々の活躍も冴える、好評シリーズ第四弾。

レビュー・口コミ(1件) 一覧へ

  • 峠―慶次郎縁側日記―は、慶次郎縁側日記シリーズの小説です。慶次郎縁側日記シリーズは、人情ばなしで、読んでいるとほんわかと心があたたかくなる余韻が残るような気がしますが、今回の作品では、女性なら強く共感する作品が数点収録されています。なかでも、私の印象に深く残ったのは、「蝶」です。「蝶」では長らく夫に虐げられてきた女性が自分から三行半をつきつけ、出ていくところから話が始まります。途中、女性の回想シーンでの姑の一言は、読んでいて胸が痛くなりました。手を出さなくても、言葉で人を打ちのめすことってあると思います。それを目撃してしまったような、やりきれなさを感じました。だから、女性が三行半をつきつけたことは、全然間違っていないし、物語の結末まで読むと亭主がちょっとかわいそうにもなりましたが、今まで苦労した女性だからこそ、今度こそ幸せにのびのびと暮らしてほしいなと思いました。

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    アンズジャムさん