筑摩書房 3,276件 人気順 新着順 日本語の外へ(下) 片岡義男 アメリカ的なものを支えているのは英語だ。センテンスを積み重ね、パラグラフを積み重ねていく英語は、積極的な提案の性能や改革の意志をはじめから内蔵している。そして主張の正しさを証明するのは抽象的な客観性だ。I と YOU はそのような関係にある。「私」は I ではない。YOU と向き合える「私」などないのだから。それでは日本語で生きている私たちはどのような関係を前提にしているのか? 英語と日本語というそれぞれの母国語の性能への洞察から世界認識のありかた問う思考の書。 550円 リア王 ――シェイクスピア全集(5) シェイクスピア/松岡和子(訳) 老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固める。二人の姉は巧みな言葉で父を喜ばせるが、末娘コーディリアの率直な言葉にリアは激怒し、彼女を勘当、二人の姉にすべての権力・財産を譲ってしまう。ここから老王の悲劇は始まった。シェイクスピア四大悲劇の最高峰を第一人者による流麗の技で訳出。詳細を極めた脚注を付す。 770円 グリム童話(上) グリム兄弟/池内 紀(訳) グリム兄弟はドイツ語辞典(つまりドイツの「国語辞典」)を編纂したことからもわかるように、自分たちが使っているドイツ語の生きた姿をとどめることに力を注ぎました。彼らがまだ学者の卵だったころ、小さな街の薬局で働いていた住み込みのマリーおばさんから昔話を聞いたことから話の採集が進み、『グリム童話集』として集大成されると世界中に広まり大ロングセラーとなりました。(上)には幼い兄妹の冒険譚「ヘンゼルとグレーテル」など32編を収録しました。 770円 グリム童話(下) グリム兄弟/池内 紀(訳) グリム兄弟は昔話をできるだけ純粋な形でとらえようとしました。尻切れトンボの話もそのまま書きとめ、無理に完成しようとはしなかったのです。と言っても口伝えのまま活字にしたわけではありません。耳で聞いた話を忠実に写しながらも、いかに印象深く語るかに心血を注ぎました。この池内紀訳もまた彼らの態度を継いでいます。昔話特有の「骨太な素朴さ」を失わないように原文のリズムを翻訳でも生かすことをモットーにしました。(下)には「白雪姫」など35編を収録しました。 935円 貧乏サヴァラン 森 茉莉/早川暢子(編) 家事がまるきりダメな茉莉のたった一つの例外が料理。父森鴎外が留学先で覚えたドイツの下宿屋料理と生まれ育った東京の家庭料理を出自に、ブリア・サヴァランばりに食べ続ける。オムレット、ボルドオ風茸料理、白魚、独活、柱の清汁……。得意料理をとくとくと語る食いしん坊エッセイにして、精神の貴族の貴重さを述べ贅沢を愛する心を説いてやまぬ芸術談義という自在さ。江戸っ子らしい口とパリジェンヌの舌に奏でられ、どのページからも芳醇な香りがたちのぼるマリア流『美味礼賛』。 550円 経済大転換 ――反デフレ・反バブルの政策学 金子勝 イラク戦争以後、アメリカの一国決定主義がますます突出し、世界は「分裂と不安定の時代」に入っている。一方で、経済状況は当分の間、世界同時デフレから抜け出せそうにない。それに苛立つかのように、日本国内ではバブル待望論が絶えないが、アメリカの景気頼みの日本経済回復シナリオは非常に危うい。むしろ地方へとデフレが波及し、さらに深刻化していく恐れがある。もはや古い時代の発想は通用しない。思考および政策の大転換が必要だ。日本経済の位相を確かな目でとらえた渾身のメッセージ。 660円 宝島・ジーキル博士とハイド氏 R.L.スティブンスン/野尻抱影(訳) 巨万の財宝が眠る伝説の宝島探検に向かう一行の行く手には恐ろしい海賊の陰謀が待ち受けていた。甲板を歩く船長の義足のコツコツという音、鉄の爪をつけた義手の隊長。樽の中でその陰謀を聞いた勇敢な少年ジムの活躍が始まる! 巨匠スティブンスンが毎夜こどもに読んで聞かせた後に刊行して評判になり、作家の名前を不朽のものにした冒険ロマン「宝島」と、身の毛もよだつ二重人格、分身の恐怖を描く「ジーキル博士とハイド氏」の二大傑作。翻訳は星の文人として著名な野尻抱影。 770円 ヒトの見方 養老孟司 解剖学者の仕事はモノを見ること。じっと見ては考える。ヒトの顔はどうしてみな違うのか? ヒトにはなぜヒゲがないのか? 対象だけでなくそれを見ているヒトをも視野に入れて考える。『ヒトの見方』は、見えているモノがなにかというより、それがどう語られたかに注目するところから生まれたヒトの博物誌なのです。還元主義に陥った現代自然科学に苦言を呈し、生物進化に新解釈を導入し、昆虫採集の楽しみを語る。簡潔にして明快、現代最高の知性ならではの科学エッセイ集。 715円 ブルー・ブラッド ―ヨーロッパ王家の現代史 山下 丈 ロシア革命、アナスタシアの謎、ウィンザー公の世紀の恋、そして二つの世界大戦――激動の時代に翻弄されながら、イギリス・ウィンザー家、ロシア・ロマノフ家、ドイツ・ホーエツォレルン家、オーストリア・ハプスブルク家などヨーロッパ諸国の王家が、どう苦悩し、いかに生きたか。“青き血”の織りなすドラマの数々を描いた、王族たちの現代史。 3,190円 悪人礼賛 ――中野好夫エッセイ集 中野好夫/安野光雅(編) 「およそ世の中に、善意の善人ほど始末に困るものはないのである。」こちらは迷惑をこうむっているのに、それに気づかないばかりか、一切の責任から逃れていると錯覚してる善人。むしろ悪人のほうが付き合いやすい。このパラドクスを語る文章の小気味よさ。数々の名訳で知られ、社会に警鐘を鳴らす評論家として信頼された自由主義者のエッセイ集。半世紀を経てなお瑞々しさを失わない人生論と日本の国際社会復帰期の社会批評の数々。自在闊達な思考の気持ちよさを満喫できる一冊。 825円 ゴルフとイギリス人 尾崎 寔 ゴルフといっても、本場イギリスはやっぱりひと味違う。その起源、歴史、道具、ルール、風土との関わり、ロイヤル・ファミリーとゴルフなど、とっておきのエピソードと知られざるイギリスの一面を、ゴルフを愛し、ユーモアと大人の遊び心を愛する著者が、愉快でおしゃれな語り口で書き下ろす。ゴルフ好きもそうでない人も、ニヤリとしながらときどきドキリ、ゴルフを通してイギリスの人と社会の奥深さにアプローチ。 660円 大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット/神吉敬三(訳) 1930年刊行の大衆社会論の嚆矢。20世紀は「何世紀にもわたる不断の発展の末に現れたものでありながら、一つの出発点、一つの夜明け、一つの発端、一つの揺籃期であるように見える時代」、過去の模範や規範から断絶した時代。こうして、「性の増大」と「時代の高さ」の中から《大衆》が誕生する。諸権利を主張するばかりで、自らにたのむところ少なく、しかも凡庸たることの権利までも要求する大衆。オルテガはこの《大衆》に《真の貴族》対置する。〈生・理性〉の哲学によって導かれた予言と警世の書。 825円 ジンメル・コレクション ゲオルグ・ジンメル/北川東子(編訳)/鈴木 直(訳) 取っ手や橋・扉など、見慣れた風景の細部からモデルネの本質を読み解き、貨幣、大都市、女性、モードにいたるまで、現代社会のあらゆる事象に哲学的思索を向けた「エッセーの思想家」ジンメル――その20世紀的思考を生き生きと伝えるアンソロジー。 1,155円 中華料理の文化史 張 競 フカヒレの歴史はせいぜい三百年、北京ダックはたかだか百年あまり。それ以前の中華料理とはどのようなものだったのか? 異民族との交流により中華料理は大きく変貌してきた。見知らぬ素材やレシピという異文化を中国人は貪欲に取り込んだ。中華思想も蛮夷の料理は拒まなかった。中華料理のなかにはハイブリッドな中国文化のエキスが濃縮されているといるのだ。孔子の食卓から開放経済下の新香港料理まで、中国の風土、異文化交流という大きな視野から描きだす、芳醇な中国文化史。 715円 パリのマリア 竹下節子 何度もその前にマリアが出現し、埋葬後56年経てなお生前の姿を保っていたカトリーヌ・ラブレー。硬直した体を暗闇のベッドに横たえ眠らずに神の声を聞き、毎週金曜日にはその聖痕から血を流す。神父が運んでくる小さな聖体パンのみが食事という超常的な50年を送ったマルト・ロバン。第2次大戦中にパリの修道院でレジスタンスを支援しながら同時に戦場にある若い兵士を訪問したイヴォンヌ=エメ。たった100年ほど前に起きた奇跡の主人公たちを紹介し、その魅力を探る魂の書。 3,135円 犯罪症候群 別役 実 現代ほど犯罪が、われわれにとって重大な意味をもちはじめた時代はない。犯罪は日常領域と非日常領域の屈折した回路を巡って出現し、逃走する。この犯罪のメカニズムがもはや機能しなくなった世界ではいったい何が起きるのか。犯罪のことばのパラドキシカルな諸考察を通して、二・二六事件から連合赤軍事件にいたるまで、衝撃的な事件の闇の内部構造を鋭敏な生活感覚で照らしだす別役版犯罪原論。 1,045円 ニーチェ入門 竹田青嗣 ルサンチマンの泥沼の中で「神」や「超越的真理」へと逃避するのか、あるいは「永遠回帰」という「神聖な虚言」に賭け、自らの生を大いに肯定するのか? 二十世紀思想最大の震源地であり、今日もなお、あらゆる思想シーンに絶大な影響力を誇るニーチェの核心を果敢につかみ、さらに未来へと開かれた可能性を大胆に提示する、危険なほどの刺激的な入門書。 770円 ピクウィック・クラブ(上) C.ディケンズ/北川悌二(訳) 実業界を引退した裕福な紳士にしてクラブの会長ピクウィック氏は、新たにつくった通信部の仕事として各地の風俗を調査報告すべく、3人の会員とともに旅に出る。もとより無邪気で素朴、人間愛の化身とも言うべき人物であるので、旅行は単なる調査にとどまるわけがなく、行く先々で世の虚偽を暴き悪を懲らしめ苦境にある人々を救わないわけにはいかない。しかし、その善意が飛び切りのものだったのでしばしば空回りしてしまい、悪人の奸計にかかり、滑稽な失敗をしてしまうのだった。 1,155円 ピクウィック・クラブ(中) C.ディケンズ/北川悌二(訳) ピクウィック氏の旅は続き、裁判をはじめいろいろなごたごたに巻き込まれる。途中から仲間に加わったのが忠実な馬丁のサム・ウェラー。陽気な生粋のロンドンっ子できちんと世間の常識をわきまえ、ピクウィック氏を引き立てる名脇役だ。こんなお供の活躍を読むと『ドン・キホーテ』が思い出される。ドストエフスキーも「滑稽であるがために善良な人間」のタイプとして、ドン・キホーテとこの小説の主人公ピクウィックをあげている。物語はどこまでももつれながら広がってゆく。 935円 ピクウィック・クラブ(下) C.ディケンズ/北川悌二(訳) ピクウィック氏の波乱に満ちた旅は終わり、今や落ち着いた日々が過ぎてゆく。体は少し弱っていても精神は若々しく人々の敬意を集めている……。すべてのいざこざは収まり、穏やかな雰囲気のうちにこのイギリスを代表するユーモア小説は幕を閉じる。当時のイギリスは産業革命後の混乱の真っ只中にあり、下巻にあるように債務者は監獄に送られた。駄洒落や地口満載のこのユーモア小説はブルジョア階級からも下層階級からも歓迎され、ディケンズは作家としての名声を手に入れた。 935円 1 ... 159160161 ... 164 TOP 電子書籍(本・小説) 筑摩書房 160ページ目