髪かざり
購入した作品の読み方あらすじ
太平洋戦争中から終戦直後にかけて、著者は〈日本婦道記〉と題した短編を発表し続けた。初期の代表作となったこのシリーズには、未曾有の非常時にあって、古来、戦場の男たちを陰で支え続けてきた日本の妻や母たちの、夫も気づかないところに表われる美質を掘起こしたいとの願いが込められていた。本書には、「忍緒」や「二粒の飴」など、文庫未収録の本シリーズ作品のすべて、17編を収録。
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「日本婦道記」の文庫2冊目、17の短編が収録されています。表題作の「髪かざり」は、順風満帆だった船乗りの父の難破から始まります。家財の整理をして、病身の母と18歳の娘、まだ子供に近い弟、3人での再出発。そして持ち込まれた縁談と援助に首を振った娘は、自らの髪に手をかけ…日本婦道記は、武家であっても庶民であっても、名も無き人々のつつましい人生の物語が多い。これらが受け入れられた背景には、同じようにつつましく生きた人々の人生があったに違いない、と思うのです。