海鳴り(上)

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あらすじ

はじめて白髪を見つけたのは、いくつのときだったろう。骨身をけずり、果てにむかえた四十の坂。残された日々は、ただ老い朽ちてゆくばかりなのか。……家は闇のように冷えている。心通じぬ妻と、放蕩息子の跡取りと。紙商・小野屋新兵衛は、やがて、薄幸の人妻丸子屋のおかみ・おこうに、果せぬ想いをよせてゆく。新兵衛の心の翳りを軸に人生の陰影を描く、世話物の名品。