林檎の木の道
購入した作品の読み方あらすじ
池掘りをして退屈をまぎらわせていた、17歳の暑く単調な夏休み、広田悦至は元恋人の由実果が、千葉の海で自殺したことを知る。事件の日、渋谷からの彼女の呼び出しを断っていた悦至。渋谷にいた彼女がなぜ千葉で自殺を?気まぐれで面倒なやつだったけど、自殺するような子でもなかったはず。再会した幼なじみの涼子とともに事件を調べ始めると、自分たちの知らなかった由実果の姿が、次第に明らかになってくる――。悲しくも、爽やかな夏の日々の描写が秀逸な、青春ミステリの傑作。
レビュー・口コミ(1件) 一覧へ
作者の書く主人公はちょっと変わった家庭が多く、それを受け入れつつもシニカルに大人を見ている男の子が多いです。こちらの主人公も、そんな人。女だてらに教授で海外を飛び回る母、娘より年下の女性と同棲する祖父、という家庭環境で、いつも通り平然と受け入れて夏休みを迎える。そして、突然の同級生の死、幼稚園の同窓生(笑)、手探りの捜査で浮かび上がる真実。「林檎の木の道」は作者の青春をテーマにした小説でも終わりがすっきりほっとするので、また読みたくなる作品です。