キャラクターメイキング [映像コンテンツ制作のクリエイティブテクノロジー/第6章]

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あらすじ

 世界の進化から取り残された感があるシナリオライティングと異なり、キャラクターメイキングは依然としてアメリカとともに世界の最先端を行っている。しかし、これはマンガやアニメなどのキャラクターデザイナーがつくりあげたメイキング技術であり、俳優が「役づくり」として行うキャラクターメイキングを含めると、日本の優位も怪しくなってしまう。世界の国々はそれぞれの伝統劇を土台にしながらも映像コンテンツに特化した近代的なメソッドを形成しているからだ。
 キャラクターをつくるクリエイターや俳優は、そのキャラクターに目的通りの雰囲気を出すことができるかどうかという発信者側と、そのキャラクターからどんな印象を受けるかという受信者側の2つの面から機能分析をすることが不可欠だ。これまでの「キャラクターデザイン」や「役づくり」の教則本では、発信者側だけのテクノロジーを解説しているものがほとんどであり、どう受け取られるか、受け取られることによって生ずるうわさがどう広がり、キャラクターの人気をつくってゆくのかについては、ほとんど触れられていない。
 本書では、デザインするキャラクターも俳優の役づくりも、それを観る側、受け取る側からいえば全く同じであることに着目し、最新の脳生理学や心理学、観る側の生活環境などを考慮した社会心理学などの知見を導入し、さらにディジタル画像処理技術を利用することによって、これまでとは異なるキャラクターメイキングを提案している。具体的にはコンピューターとインターネットを利用するDREAM手法や、印象を速現性、遅現性、時現性の3種類に分類し、それぞれを表現するキーワードを配して、印象の内容をできるだけ詳細にとらえる手法を解説している。