プロデューシング [映像コンテンツ制作のクリエイティブテクノロジー/第3章]

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あらすじ

 まったくゼロの状態から映像コンテンツを創りだす原動力はプロデューシングである。アイデアやストーリーをつくりあげ、資金を用意し、制作スタッフを集め、公開方法や、かかった資金の回収方法など、大きな全体の枠組みをつくり実行してゆくという総合的な技術である。映像コンテンツが一つひとつ異なるように、そのプロデューシングも千差万別なのだが、映像コンテンツを効率よく、品質のよいものをつくり、それを最大限活用して経済的な安定を得るという最終目標は共通なのだ。
 これまで行われているプロデューサー教育や出版されている指南書は、実際に制作行為を経験して体で覚えてゆくという方法や経験談が中心であり、プロデューシングを体系的、論理的に学び、知識をつけ技能を高めるという、一般的な産業界では当たり前になっている教育や訓練方法が確立されていない。とくにプロデューシングは、個人的な人間関係や経験を重視するあまり、そのクリエイティブ要素については論理的な取り組みがほとんど存在していない。
 本書では、内容的にも経済的にも成功した映像コンテンツのプロデューシング行為を分析し、そのなかから今後の映像コンテンツ制作に応用できる共通のルールを抽出している。日本には、あらゆるメディアに映像コンテンツを供給しそれぞれの特色を生かして、投下資金をできるだけ多方面から短期間に回収する仕組みを理解し実現できるプロデューサーの絶対数が、世界の映像制作国に比較して圧倒的に少ない。これが日本の映像コンテンツ産業全体が、ディズニー1社の年収にかなわないという現状を生み出してしまっているのだが、プロデューシング技術を高めることによってその状況を少しでも改善してゆけるのは間違いない。