記憶を食む

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あらすじ

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気鋭の文筆家・僕のマリが挑む、

「食」と「記憶」を繋げる珠玉のエッセイ。



思い出すことのかたわらにはいつも、食べものがあった。

大切な記憶も、ちょっとした記憶も、食むように紡いでいく。



noteの好評連載に書き下ろしを加えて待望の書籍化

全編書き下ろしの「自炊ときどき外食日記」も収録





長い間忘れていたことを突然思い出すと、狂おしい気持ちになる。

頭のなかで突風が吹いたような、満潮の海が荒れるような、

スノードームをひっくり返したような、

そんな風に全身の細胞が泡立つのを感じる。

頭で覚えていないようなことでも、

匂いや音で急に記憶の蓋がこじ開けられることもある。

忘れて、思い出して、また忘れて、そんなふうにあと何十年も

自分の内面と向き合っていくことになるのだ。

(本文より)





もくじ

i

チーズケーキの端っこ

朝食のピザトースト

真夜中の炭水化物

りんごを剥いたら

直樹の焼きうどん

いつかマックで

退屈とコーラ



自炊ときどき外食日記 1



ii

祖母と梅、メロンに焼肉、初夏の風

苺の効力

幻とコンソメスープ

先生となんこつ

社食の日替わり

キッチンで缶ビール

炙ったホタルイカ



自炊ときどき外食日記 2



iii

サンタの砂糖菓子

考えるチョコチップクッキー

穏やかなフルーツサンド

不安と釜玉

酢シャンプーの女

食わず嫌い

明日のパン



あとがき