歴史民俗学資料叢書 解説編 II 民俗とナショナリティ

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あらすじ

排泄・犯罪と猟奇・男色・無法・左右からみる“人間存在の本質”!

柳田國男の創始した民俗学は「一国民俗学」を標榜してきたが、日本文化あるいは日本人の姿を正しくリアルに伝えてきたのだろうか。日本人のナショナリティ(国民性)を把握し理解するために柳田民俗学が積み重ねてきた努力は評価しなければならないが、「一国民俗学」が描く自己像にはどこか不徹底、不十分なところ、あるいは作為的な部分があり、人間存在の実相・本質には迫り得ていない面がある。叢書第2期は、糞尿と厠の民俗、日本独自の犯罪と民俗、長い歴史を持つ男色文化、悪党・極道の伝統、左尊の民俗が生む貴・賎、淨・穢の差別構造の問題を扱うことで日本人のナショナリティと深く関わる民俗文化に迫り、近隣諸国の文化と比較対照・相対化を行い民俗文化の可能性を示唆する。歴史民俗学資料叢書第2期(全5巻)の「解説」・「あとがき」を収録し、さらにその後の考察を〈補論〉として加え、巻末に叢書収録文献の総目次を収録した。
歴史民俗学資料叢書第2期(全5巻)の「解説」・「あとがき」を収録し、さらにその後の考察を〈補論〉として加え、巻末に叢書収録文献の総目次を収録した。叢書収録文献への足がかりとしての入門書、刊行!

【目次】
まえがき

■ 厠と排泄の民俗学 解説【糞尿はいつから〈汚物〉になったのか?近代ニッポン糞尿史序説】
三島由紀夫の〈汚穢屋〉願望/三島由紀夫の「出自」について/〈汚穢屋〉は賤民にあらず/昭和初年の東京における〈汚穢屋〉の実像/竹内武雄氏の「汲み取り」体験/徳富蘆花の見た「不浄取り」/都市住民の〈汚穢屋〉に対する意識/本資料集の編集方針について
あとがき
補論

■ 犯罪と猟奇の民俗学 解説【柳田國男と流血の民俗学】
柳田國男における「殺生の快楽」/『遠野物語』と三面記事/『遠野物語』における〈犯罪〉/柳田國男と〈猟奇の民俗学〉/中山太郎と犯罪民俗学/千葉徳爾と流血の民俗学
あとがき
補論

■ 男色の民俗学 解説 【男色の沿革を略述し日本人の国民性に及ぶ】
オウムと自衛隊/明治の学校と男色の悪弊/『ヰタ・セクスアリス』と金井湛の受難/金井湛、二度目の受難/薩摩武士と男色/硬派と軟派/薩摩の郷中教育について/きだみのると「尻つき」/「レイプ容認」の風土/「ケツの穴が小さい」/その昔陰間だった老人の回想/通和散と安入散/陰間の養成法
あとがき
補論

■ 無法と悪党の民俗学 解説篇【無法と悪党が創った国・日本】
「明治天皇は南朝の天子を殺し神器を奪った北朝の子孫」/水戸学と南朝再興の大義/喜田貞吉と「大賊・小賊」/元勲・田中光顕とコンクリート製の寝室/志士・田中光顕と血盟団事件/ダレル・ベリガンのヤクザ研究/ベリガンの批判的視点と分析的視点/長谷川昇の画期的博徒論/網野善彦の壮大な「無縁」論 
あとがき
補論

■ 左右の民俗学 解説【「左右」から見える日本文化のルーツ】
左前とは何か/なぜ左前はいけないのか/左前と「逆さごと」/「逆さごと」と左右/常識としての右尊左卑/神事における左尊右卑/右尊・左尊どちらが基礎的か/左=聖・右=俗という視点/左の両義性/左右と日本の固有文化
あとがき
補論

歴史民俗学資料叢書第二期全五巻 収録文献一覧
あとがき