歴史民俗学資料叢書 第二期 IV 無法と悪党の民俗学
あらすじ
山賊・海賊は国を奪ふの大盗よりも軽し。(『異制庭訓往来』)
〈無法〉と〈悪党〉をキーワードに、「犯罪」と「国家」を同時に相対化する!
テロ、謀反、非合法集団の〈無法〉。博徒、陜客、ヤクザ、アウトローの〈悪党〉。そして、国家に内在する権力という〈無法〉。日本の歴史を形成し、日本の社会を特徴づけてきた〈無法〉と〈悪党〉の秘密を解き明かす。
伊藤博文、中山太郎、田村栄太郎、田中光顕ほか明治19年から昭和27年までの、異色の論文・資料23編を収録。
【目次】
■解説篇
●無法と悪党が創った国・日本[礫川全次]
「明治天皇は南朝の天子を殺し神器を奪った北朝の子孫」/水戸学と南朝再興の大義/喜田貞吉と「大賊・小賊」/元勲・田中光顕とコンクリート製の寝室/志士・田中光顕と血盟団事件/ダレル・ベリガンのヤクザ研究/ベリガンの批判的視点と分析的視点/長谷川昇の画期的博徒論/網野善彦の壮大な「無縁」論
■資料篇
1 蹈血(抄)(一八八六年) 木村邦舟
2 馬関挙兵の状(一九〇〇年) 伊藤博文
3 無政府共産(一九〇八年) 内山愚童
4 下獄に際して感ぜしこと(一九一〇年) 田岡嶺雲
5 涜職罪検挙に関する上奏案(一九一六年) 大場茂馬
6 明治元年の東京(一九二〇年) 関根正直
7 大浦卿の一外伝(抄)(一九二一年) 野村本之助
8 喜剣思想(一九二五年) 尾佐竹 猛
9 見込捜査時代(一九二九年) 江口 治
10 盗人神(一九二九年) 中山太郎
11 乱波と風呂寺(一九三〇年) 田村栄太郎
12 愛国二人々気男(一九三二年) 岡見 齊
13 『盗』の徳史(一九三三年) 坂ノ上言夫
14 歴史上の合法非合法ギヤング(一九三五年) 田村栄太郎
15 懐中物御用心(一九三五年) 平山喜久松
16 生麦事件で夷人を斬殺した私(一九三六年) 久木村治休
17 賀川肇の暗殺(一九三六年) 田中光顕
18 上州遊び人風俗問答(一九三九年) 武田愛之助・田村栄太郎
19 攘夷盗木弥太郎懺悔談(一九三九年) 青木彌太郎・田村栄太郎
20 インフレ風景ほか(一九四〇年) 猪俣浩三
21 経済警察の生命線ほか(一九四〇年) 窪 孝治郎
22 育関係職事件懇談会記録(一九四三年) 司法省刑事局
23 各地の情勢の中の特徴的なものについて(一九五二年) 大杉演劇研究会
あとがき
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