核兵器

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あらすじ

極小の世界が生み出す、極大の破壊力。人類史上最強の兵器を純粋に物理学の側面から解明する。

圧倒的な破壊力のため、誕生した年に二度使用されただけでその後70年以上実戦で使われていない核兵器。
しかしその間も改良が重ねられ凄まじいレベルにまでその威力を高めていた。

原子核の分裂と融合が、なぜこれほどのエネルギーを生み出すのか。
またそのエネルギーを、一瞬で消費し尽くすための設計とは。
天然の鉱石から「燃料」に加工するまでの、気の遠くなるような濃縮の工程。
核分裂兵器(原爆)から核融合兵器(水爆)へ──そして究極の核兵器W88の誕生。

20世紀初頭に異常発達した物理学の総決算であり人類が元来持っている闘争心と、飽くなき知への欲求が結実した究極の産物──その複雑で精緻なメカニズムを政治的、倫理的な話は抜きに、純粋に物理学の側面から解明していく。

著者自ら作成したグラフやCAD図をはじめ本書でしか見られない図版を多数収録。
数式や表、さまざまなデータを駆使しながら、緻密に、定量的に、その実体に迫っていく。
専門書としての魅力、資料的価値を最大限高めながらもユーモラスな喩えやイラストなどを織り交ぜることで理系ではない読者にも読み進められる「限りなく専門書に近い一般書」を実現。

【目次】

第1章 原子核
1.1 その男は、東海村からやって来た
1.2 原子力施設の熔接技術によってつくられた戦車
1.3 原子の構造
1.4 原子核の構造


第2章 放射線
2.1 不安定核の粒子の放出
2.2 不安定核のエネルギーの放出
2.3 放射線は何故危険か
2.4 エネルギーの単位


第3章 核分裂と核融合
3.1 不安定核の分裂
3.2 核分裂断面積
3.3 マクロ断面積
3.4 核分裂反応に於ける質量欠損


第4章 連鎖反応
4.1 温度
4.2 核分裂の連鎖反応
4.3 核分裂の連鎖反応にかかる時間
4.4 原子炉


第5章 核燃料
5.1 ウランの採掘
5.2 ウランの精錬
5.3 ウランの転換
5.4 ウランの濃縮


第6章 核分裂兵器
6.1 マンハッタン計画
6.2 砲身型核分裂兵器
6.3 爆縮型核分裂兵器
6.4 ソヴィエト連邦に於ける核分裂兵器の開発


第7章 核融合兵器
7.1 テラー?ウラム型熱核兵器
7.2 3F兵器
7.3 特殊な核兵器
7.4 リチウム7の効果


巻末図表

カラー図
索引

【著者】
多田将
京都大学理学研究科博士課程修了、理学博士。高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 准教授。著書に『兵器の科学1 弾道弾』『放射線について考えよう』(明幸堂)、『核兵器入門』(星海社新書)、『ソヴィエト連邦の超兵器 戦略兵器編』(ホビージャパン)、『ソヴィエト超兵器のテクノロジー 戦車・装甲車編』『同・ 戦闘機・防空兵器編』(イカロス出版)、『すごい実験』『すごい宇宙講義』(中公文庫)、『ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>』『ニュートリノ』(イースト・プレス)などがある。