夫のボケは神様からの贈り物
あらすじ
認知症を持った人たちと歩く、共生社会への提言。
元気で体力のあるうちは「バカヤロー」を日々連発していた夫だったが、
衰弱するに従い、「2人だけなんだよね」とか「お母さん、お母さん」と心細い言葉を発するようになった。
―――プロローグから
大企業の創業者の孫として生まれた著者は、
幼い日からジェンダーについての疑問を意識しながら成長した。
名門大学時代に恋に落ち、大恋愛の末に結ばれた夫との結婚生活57年は、
長女・次女・双子の長男・次男という4人の子どもに恵まれ、
家事・育児に追われながら社会活動にも能動的に取り組み、充実感に満ちたものだった。
しかし、結婚50年を過ぎ、夫にボケ症状が出たことで、「介護」という日常に向き合う日々が始まった……。
それから5年、夫は家族に囲まれながら安らかに旅立った。
言いようのない寂しさの中で葛藤の交差する日常を思い返しながら、
男として・女として、人がこれから歩むべき道について提言した1冊。
ボケた夫に寄り添った5年間を想えば、男として・女として歩むべき道が見えてくる。
認知症を持った夫との5年間を通して、
1人(1匹)の母性を備えた雌が「いのち」への責任を訴えなければ持続可能な人類に未来はないと、残された道について考えてみた。
■目次
●I ボケ夫と暮らした5年の日々
1 ボケ夫と暮らした5年の日々
2 寿命による自然死
a 男と女 夫婦の別れ
b 家族との別れ
c 次世代に言い残しておきたいこと
d オスとメスが真剣に愛し合わないと種の前途が危うい
3 地域に支えられて
80女の想いのコラム 育ちの環境
●II 認知症との関わりと学び
1 認知症への気づき
2 認知症を持つ人への誤解
3 共生のための事前学習・基礎知識
●III 脳を探求する
1 生き物の脳
2 人間の雄の脳・雌の脳は違う
3 違い・取り扱い方を知る
4 男性脳の究極の作品 人口知能を考える
80女の想いのコラム 女性脳科学者の「気になることば」
●IV 長寿社会の幸せへのヒント
1 夫婦の幸せを考える
2 身体感覚を甦らせる
3 オスの責任 暴力に向かわせないために
4 長寿社会の終末期医療
5 介護者支援法の制定を
80女の想いのコラム 「いのち」が愛おしい
●V 残された道 女性の出番
1 バリテ・民主主義
2 気づきを表現し、行動し、連帯しよう
3 女をとりまく現代世相
80女の想いのコラム 次世代へつなぐ責任
■著者 佐藤禮子