カブキの日
小林恭二 671円
あらすじ
出雲の阿国以来四依頼百余年の歴史を持つ歌舞伎は変革期を迎えようとしていた。
革新を目指すのか、保守として伝統を重んじるのか。
二つの勢力が拮抗する中、年に一度の「カブキの日」を迎えた。狂言作者の祖父に育てられた少女・蕪は着飾った両親とともに、琵琶湖湖畔の歌舞伎小屋[世界座]へと船で繰り込む。三層に建てられたこの小屋は巨大な楽屋を持っていた。
見学という名目で、美しい茶屋の若衆・月彦に案内されて、魔の迷宮とも言いえる楽屋に入り込む。その間に舞台の幕は上がる。そこには混沌か芸か、生か死かというせめぎ合いが演じられる。
歌舞伎の祖である阿国と名古屋山三郎の狂言を軸に、歌舞伎の生き残りをかけた闘いが壮大なスケールで語られる。