GLP-1受容体作動薬 ―宝の持ち腐れにしないための本

購入した作品の読み方

あらすじ

<はじめに>より
 2012年,私が順天堂大学から東邦大学に異動して間もないころ,GLP-1受容体作動薬について単行本を作りたい,というフジメディカル出版の宮定さんからお話があり,日本の多くの糖尿病臨床の大家の先生に執筆をお願いし,無事翌年には「もう手放せない!GLP-1受容体作動薬 -どのような症例に,どう使うべきか?-」の発刊に漕ぎつけることができました。一定の評価をいただきましたし,専門医以外の先生方にもGLP-1受容体作動薬の有用性を広く伝えることができたと思っています。
 それから6年が過ぎ,GLP-1受容体作動薬を取り巻く環境は大きく変わりました。併用薬の縛りがなくなったことや,週1回注射で済む製剤が発売されたことなどがポイントです。
 しかし,当初よりその有用性の割に使用されていない状況は相変わらず継続し,まさに「宝の持ち腐れ」状態が続いています。その大きな原因の一つが,使用されるタイミングの問題です。どちらかというとインスリン使用患者のステップアップ,ステップダウンという局面で使われることに注目が集まり,使用する医師は糖尿病専門医に限られてしまったことにあります。
 本書をお読みいただくと,この製剤があまねく糖尿病患者を診ているすべての医師に使ってもらいたい,早い段階で使用するべき薬剤だということがおわかりいただけると思います。本書はその一点を何より多くの読者の方々にお伝えするために,執筆陣を教室員に限定し,一丸となって完成させました。GLP-1受容体作動薬を使いにくかったDPP-4阻害薬効果不十分例でもちゃんと効果があるという,当科のBOOST2研究にもご注目ください。(弘世貴久)