令和と万葉集
村田右富実 1,100円
あらすじ
『よみたい万葉集』監修、『おさんぽ万葉集』著の、村田右富実関西大学教授最新作。
新元号「令和」の典拠となった万葉集の「梅花歌の序」を訳とともに掲載しています。
この文章は、大宰府にいる大伴旅人が奈良の都にいる友人吉田宣に送った手紙の序です。
一説には、山上憶良が書いたものではないかという話もありますが、旅人が送った手紙であることは間違いありません。
「令和」の典拠が、万葉集の「梅花歌の序」ではなく、その典拠にあたる「帰田賦」の載っている『文選』だという話も話題になっています。
ところが、「梅花歌の序」には、他にも10以上の中国文学の典拠が複雑に入り組んでいるのです。
本書では、その一つ一つにも目を向け、訳と解説を載せ、背景も丁寧に記載しました。
更に大伴旅人の大宰府での生き様が知りたくなります。そこで本書の附章、「大伴旅人という生き方ー万葉集への扉ー」では、酒宴の様子や、都にもどる部下への言葉、旅の途中のこの地で亡くなった妻への思いなどを、大伴旅人や山上憶良の万葉歌をあげながら考えてみました。
また、元号についてももちろん話を展開しています。
日本最初の元号「大化」、その後「白雉」「朱鳥」など散発的に用いられた後、「大宝」から元号はレギュラー化していきます。
そんな改元話のあれこれから万葉集の歌との関連まで、上代研究の一線で活躍する著者が、綴りました。
理解しているようであやふやな、万葉集と万葉仮名との関係など、万葉集で知っておきたい知識も満載です。
予備知識なしに読むことができるように意識しました。
改元をきっかけに本書を読んで、一人でも多くの人が万葉集に興味をもって下さったらいいなと思って作りました。