星を見た金魚

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あらすじ

小説雑誌に連載された「吟行エッセイ」をまとめたもの。金魚は高橋洋子の俳号でもある。
 編集者とカメラマンをしたがえて北から南へと各地を巡る。行った先々で様々な出来事にぶつかり、ユーモラスな体験をする。
 城崎では志賀直哉の足跡を追い、ひなびた温泉街に郷愁を覚え、松葉ガニと格闘する。
 伊豆天城では踊り子を思いながら「踊り子号」の客になる。早咲きの河津桜と猪レースを楽しむ。
 沖縄では首里城で琉球王国をしのび、万座ビーチでは熱帯魚に囲まれて水中で句を詠む。
 山形上山では好きな競馬を堪能し、霧中で何も見えない蔵王を巡り、強酸性の温泉につかる。
 長野は冬季オリンピック直前、滑らないカメラマンを従えてスキーに挑む。善光寺では暗闇のお戒壇巡りを体験。
 瀬戸内明石では蛸に感激し、出来たばかりの吊り橋で淡路島へ、時間が留まったような町並み、そして渦潮。
 奥多摩では銘酒「澤ノ井」の蔵元を訪ね、新酒を味わう。やっと出会った紅葉。
 焼津ではのんびりと釣り糸をたれ、吊りが好きだった父親を思い出す。港の食堂で旬のカツオ三昧。
 長崎は雨だった。グラバー邸、眼鏡橋、ハウステンボス……、彼女自身の若いころの恋の思い出が蘇る。
 仙台では新蕎麦の手打ちにトライし堪能、俳句と言えば芭蕉の松島、伊達政宗の瑞巌寺を散策。
 厳寒の網走は監獄とオホーツクの流氷、白熊のような現地ガイドとスノーモービルで疾走。
 最後は俳句の聖地・四国松山へ。正岡子規、坊ちゃん団子、道後の湯、そしてやはり桜で締め。