片岡義男 480件 人気順 新着順 愛は、どうにでもなれ 片岡義男 愛はどうにでもなれ、では、百合は? 1人の男性の写真家がいる。 仕事は比較的順調で、依頼には事欠かないようだ。 写真家3人で事務所を構え、うち1人は愛子、という名の女性。 そして男性には、1人、ずっと気になっている女性がいる。 女性が日本各地を転々と引っ越すたびに、彼は会いに行く。 その関係は終わらない。しかし普段はほとんど会わない。 こんな関係はいったい何か。 「愛はどうにでもなれ」の「愛」は「愛子」に関係があるとも受け取れる。 ではもう1人の女性「百合子」は、どうだろうか? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 赤い靴が悲しい 片岡義男 1人になって思い返す、ある決定的な痛みについて 時間は、いろいろなものを遠ざける。 ふと呼び出してやろうと思った男性は 組織の奥深くに紛れ込み、電話をつなぐにも手間がかかる。 そして彼には妻ばかりか恋人までいる。 自分より10歳も若く、聡明なその女性。 なかなかに厳しい時間を、それでもひととおり優雅に過ごした主人公の女性は 帰宅し、1人になった時、自分がある決定的なミスを犯したことに気付く。 他人なら誰も責めはしないだろうその「過ち」を 自分だからこそ許せない、その悲しみをここに読む。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 甘く優しい短篇小説 片岡義男 彼にとって1人である2人の女性 甘く優しい短篇小説、というタイトルを持つこの短篇小説が その通りに「甘く優しい」かどうかは個々の読者によってむろん違うとはいえ、 小説の前半と後半で様相が相当に変わる、ということについては 書いておかなければならない。 1つのアイデアと、現実に目の前にいる女性2人は どのように関係があり、あるいはどこが無関係なのか。 あまりに直截すぎて呆気に取られるような転調ぶりを 愉しみたい一篇である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 生きかたを楽しむ 片岡義男 オデンを経由して、やがてみんな写真に収まる 作者と同じ、「ヨシオ」という音のつらなりを持つ17歳がいる。 カタカナのヨシオだ。ヨシオは高校の卒業に際し、大学には行かないことを選択する。 両親は離婚し、母親が女手一つでヨシオを育てた。 その母親が経営するのがオデン屋だ。 ここに、様々な来歴や関係を持ったそれぞれ魅力的な人物たちが訪れる。 中には国境を超えて来る人物までいる。 それぞれの困難を抱えながら、全員が「生きかたを楽し」んでいる。 片岡義男によってヨシオ同様、「オデン」とカタカナ表記される場所を媒介として それらの魅力が交錯する。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 いちばんつらい人 片岡義男 2台の自動車が作る狂おしい三角形について 海岸沿いの夜の国道をひた走る2台の自動車がある。 前を行くのはシトロエンである、女性が1人で運転している。 それを追うように後ろを行くのはメルセデスで こちらは男性が1人、女性が1人。 2台の自動車に3人。女性が2人で男性が1人。 3人の関係はあまりに微妙な苦しいバランスのうちに保持されているが 誰もが自分の感情から自由になることはできない。 誰1人、充足していないがゆえに保たれている怖ろしい関係がここにある。 作家は作中でこれを「環状に循環」と書いている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 魚座の最後の日 片岡義男 ファインダーの中の彼女 記憶に刻み込まれる女性がいる。 その女性と再び会えば、それは再会、ということになる。 この小説においては2人の女性と 20歳前の男、その友人のもう1人の男が再会を演じる。 舞台は鹿児島から北海道まで。 そして海岸が重要な場所になり、写真が小さくない役割を果たす。 再会と海岸と写真の相互作用とはいかなるものか。 「あとがき」で作者がこの小説の主題を明らかにしているが どうかそこは先に読まずにお願いしたい。 そしてタイトルの「魚座の最後の日」とは 実は作家・片岡義男の誕生日でもある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 海を呼びもどす 片岡義男 説明しすぎることは「説明的」であることをはるかに凌駕する この長篇小説には、著者によるまえがきがある。 そのまえがきを読むことによって たちどころに読んでみたくなったとしたら、 おそらくそれは幸福な時間をもたらしてくれるに違いない。 2017年の現在からはあまりに遠い、しかし ある程度の年齢であれば、覚えがないでもない、その振舞い方。言葉の使い方。 大学生である、ということの意味は今とはちがうかもしれず しかしこの小説に充満する理屈っぽさには、 おそらくある種のいさぎよさが同時に備わっているはずだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 永遠に失われた 片岡義男 すべてが終わること、写真を撮ること 17歳。人生で最も輝かしく、また不安定な年齢だ。 誕生日を終えたばかりの彼女は、ふと家を出て バスに乗り、海岸にまで足を延ばす。 焦燥感のような、鬱屈した気持ちのような そんな壊れそうな気持ちの中に、突然、凧を持った少年が現れる。 凧揚げを手伝う、という他愛もない時間を共に過ごしたことが 彼女にとって決定的な時間になる。 極端に観念的な理想と、あざやかな目の前の現実が ピタリと一致する奇跡の年齢。 しかしもはや、それは「永遠に失われた」。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 過去の黄色、現在のブルー 片岡義男 彼女がキャンディを口に含む時 キャンディを口に含んだ瞬間、つい、空を仰いでしまう。 ああ、自分もそうだった、とまでは行かなくても 子供だった頃を思い返せば、誰にでも納得の行く仕草ではないだろうか。 そんな少女は長じてステュワデスになった。男性との付き合いだってある。 その男性と自分をつなぎとめるものとして、 黄色いバンダナが効果的に使われている。 その黄色いバンダナの思い出は少しだけ過去のもので 現在の彼女には空のブルーが似つかわしい。 しかしそのブルーは黄色よりもっと過去のブルーでもあるのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 肩をうしろから見る 片岡義男 あまりにも観念的であることを突き詰めて行くと、それはやがて身体的なものになるのかもしれない 理屈っぽい会話。それこそ、ある意味で 片岡義男の小説の真骨頂である。 「理屈っぽい」と表現すれば悪口だが、妥協を許さず、 男女が一つの観念をめぐって会話を持続させていけば それはある地点から極めて身体的な実験となって現れる。 自分たちが望む状態を壊さないために もう一つの、やはり自分たちが切望する行為を断念する、 断念し続ける男女の姿は端から見れば滑稽なものだが その状態を生き切る切なさと強さが、繰り返すが片岡小説の真骨頂である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 基本を学ぶ 片岡義男 17歳の個人教授 17歳。人生で最もまぶしい年齢だ。 高校を卒業する少し手前の時間。そこには 後の人生にはない、その時だけの体験がふさわしい。 17歳の女性であれば、自らの欲求を満たしてくれる相手の男を 見つけ出す時に、好ましい対象であることはもちろんとして それが恋愛であるかどうか、には必ずしも頓着しない、 ということがあるかもしれない。 そして男のほうには、同級生ならざる年齢の女性・・・ そうだ、つまりこういう場合、年上の女性の存在がつきものなのだ。 17歳男子は、こうして1つ、人生のレッスンをこなしていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 口紅と雪の結晶 片岡義男 彼女の2枚の写真について 1人の女性がいる。 親しい男性の写真家に、自分を写したスナップ写真を撮ってほしい、と依頼する。 快諾した彼との待ち合わせの場所は京都。そこが撮影場所だ。 プロフェッショナルによる自分のポートレートを手に入れた彼女には 実はもう1つ、小さなたくらみがあった。 もう1枚の写真を手に入れ、撮ってもらったばかりの写真と一緒に 2枚並べて写真立てに収めてみること。 そのもう1枚の写真とは、どんな写真か? そしてその2枚から、何が見えるのか? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 結婚しよう 片岡義男 2人であることは、4人である、ということ 月。ピクニック。焚き火。膝。蜜柑。涙。風鈴。紅茶。霧。窓。 この中篇小説は2部構成になっていて、第1部はもっぱら 2人が過ごした様々なシーンのスケッチにあてられている。 1つひとつはとても短い章(シーン)がミルフィーユのように層をなして 結婚前の2人を表現している。 そして第2部は2人の現在だ。そこには、過去の思い出の反芻とともに 2人であることとは何か、結婚とはどういうことか? という問いが日々更新され、 結果としての結婚ではなく、常に生成されていくものとしての結婚が描かれている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 香水と誕生日 片岡義男 誰にも冒しがたい、彼女たちの肖像 女も男も、片岡義男の小説の登場人物には 他の作家に例を見ない魅力が備わっているけれども、 「では、男女のどちらがより魅力的か?」という 酔狂かつ、いささか不毛な問いを立てるとすれば やはりどうしたって「女性」と答えることに躊躇はない。 誕生日が同じ週に集中している同年齢のそれぞれに 魅力的な女性たち。口説かれることを楽しむ女性たち。 過去と向き合い、それが現在の自分に及ぼした影響を 冷静に分析する女性。ミステリーのヒントを探し求める女性。 それぞれの女性のあざやかな輪郭が浮かび上がる短篇集。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 紅茶の真夜中 片岡義男 真夜中の紅茶の、憐れな運命 いったい何事だろう、この短篇小説は。 クーペが2台。白と黒。真夜中の道路を疾走する。 どうやらそこには、怒りの感情が渦巻いているようだ。 怒りにまかせて前を行くクーペを追い立てているのは どうやら若い女らしい。言葉はいっさいなし。 もしかすると、スピルバーグの処女作『激突』に、ちょっと似ているかもしれない。 言葉の変わりに、スーパー・マーケットで買い求められたモノたちが 奔流のように酷使される。 優雅な紅茶も、そんな災難の渦中から免れることはできない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 この色は心の色 片岡義男 やがてそのくやしさからも解放されるはず シンプル極まりないが、同時に陰影に富んだ短篇である。 片岡義男という作家には、人間の身体(いや、小説の登場人物というべきか) に対する厚い信頼がある。その主人公たちの多くは好ましい身体の所有者だ。 そしてこの小説は、1人の女性が強い意志を持って身体改造に挑む物語。 それは親しい男性から発せられた一言に端を発し、 それを見返すために始まったものだったが、トレーニングはやがて 彼女の心までも別のものに変えてしまうのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 サーフボードの運命 片岡義男 1つのサーフボードが記憶していること、彼女に思い出させること 15歳の誕生日に、忽然と現れた赤いサーフボード。 波乗りを知っている人にはなじみの、昔のロングボードだ。 そこに刻まれた傷は時間そのものであり、記憶そのものだ。 今ではもう失われてしまった、海岸に出て行くための お気に入りの道順までも、そのサーフボードと共にある。 そして、父親の禁を破って、夜の海に出た17歳の不思議な体験。 それらを今、37歳になった彼女がもう一度、反芻する。 自分の生きてきた時間が、海のその地点が、いま、ここにある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 左右対称 片岡義男 過去と未来がちょうど均等であるとは、いったいどのような状態か? 誕生日が同じ3人の女性が一堂に会する。 誕生日ばかりではない、年齢まで一緒だ。28歳。 しかも彼女たちが落ち合うのは、世間でクリスマス・イヴと呼ばれる日の 前日にあたっており、そこには爽快なまでに男性は不在である。 やがてクリスマスが終わり、年の瀬が終わり、 年があらたまり、いったいどんな気持ちの中にいるのか。 それは、左右が均等である、という気持ちだ。 どちらかが過去。どちらかが未来で、 つまり、現在は完璧な均衡のうちにある。 そしてそれはたぶん、幸福でも不幸でもないのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 三人称単数 片岡義男 彼女が経験した出来事の残響について 「私」でも「あなた」でもなく、「彼」もしくは「彼女」。 言うまでもないが、これを「三人称単数」という。 この短い小説におけるそれは「彼女」だ。 ここには、彼女だけが体験した事柄や、そのくっきりとした 輪郭が鮮やかに描かれている。 台風に荒れるプールに身を置くとはどういうことか。 一転して、そのプールの静けさはどんな体験か。 恐怖を覚えるほどの濃密な霧とは、いかなるものか。 文章による肖像画がここにある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 趣味の腕立て伏せ 片岡義男 無心になることができて、自分を作ることができるもの 自立した大人の女性は、おいそれと人前で屈託した表情を見せることなく、 基本的に陽性である。それは電話に出る時の態度にもハッキリと現れるだろう。 初対面の複数の男女を前にして、 地球環境をめぐる抽象的な会話等もなんなくこなしてしまう。 そんな彼女が1人になると没頭する趣味が腕立て伏せだという。 それは無心にさせてくれるし、サボタージュすることなく継続させれば 筋肉、というカタチで、頼もしい、新しい自分をもたらしてくれる時間なのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ 275円 1 ... 91011 ... 24 TOP 電子書籍(本・小説) 片岡義男 10ページ目