竜馬がゆく
第一部~第四部
各話一覧
- 01:34:27第一部 出発あらすじをみる 坂本竜馬は天保6年(1835年)、土佐高知城下で生まれた。家は代々の豪商であったが、竜馬の曽祖父の時代、下級武士である郷士の株を買って分家している。土佐は、封建の世にあって、他藩と較べてもなお身分差に厳しい藩だった。家老の娘、お田鶴様に恋心をいだく竜馬だったが、顔を見ることもままならない。竜馬に剣を教えてくれた男勝りの姉、乙女も身分のことには口うるさい。「くそ、何が身分じゃ!こんな腐れ藩はおん出てやるわい!わしは江戸へ出て、身分なんぞハネ飛ばすでかい男になってやるわい!」19歳の春である。竜馬は剣術修行のため江戸に向かった。途中、大阪で辻斬りにあうが、その相手は同じ土佐で、竜馬より身分の低い足軽の子、岡田以蔵だった。大事な金を盗まれたが、足軽では藩から借金もできないと泣く以蔵に竜馬は親が用意してくれた五十両をすべてあげてしまう。それを見ていた男がいる。泥棒、寝待ノ藤兵衛。竜馬の人間にほれ込んだ藤兵衛は、勝手に子分になることを宣言し、旅の道づれとなる。藤兵衛の紹介で投宿した伏見寺田屋の女将、お登勢も竜馬の人柄に魅せられ、以後寺田屋は竜馬の定宿となる。江戸に着いた竜馬は桶町の千葉貞吉道場の門をたたくが、時代は竜馬に剣の修行だけをさせてはくれなかった。黒船がやってきたのだ。恐怖で騒然とする人々のなかで、竜馬の反応はちがっていた。「でっかい!まるで鉄のクジラじゃ!あんな船に乗ってみたい!」黒船に怯える幕府の弱腰に怒った若者たちの間には、尊王攘夷思想が膨らみつつあった。土佐藩の江戸藩邸でも、竜馬の親戚にあたる武市半平太が若者たちをまとめ、ひとつの勢力となっていた。竜馬も単純に尊王攘夷に染まっていくかに思えた。最初の留学期間が終わり、土佐に帰った竜馬に父の八平が思いがけぬことを告げる。「世は変わる。これからの世を治めるのは“武”ではのうて“商”じゃ。」竜馬の中になにかが芽生えていく。ふたたび江戸に出た竜馬は、水野播磨介という公家侍と知り合う。倒幕をめざす公卿に届ける密書を運んでいた播磨介は、追っ手が迫ると密書を竜馬に託し、自ら追っ手に切り込んで行き、惨殺されてしまう。「大儀」のために命を捧げた播磨介の勇気に感動した竜馬だったが、次の瞬間、違うものがはじけた。「ちがう…わしはちがうと思うぞ…命より大事なものなんか、この世にないわい!」あらすじをみる 坂本竜馬は天保6年(1835年)、土佐高知城下で生まれた。家は代々の豪商であったが、竜馬の曽祖父の時代、下級武士である郷士の株を買って分家している。土佐は、封建の世にあって、他藩と較べてもなお身分差に厳しい藩だった。家老の娘、お田鶴様に恋心をいだく竜馬だったが、顔を見ることもままならない。竜馬に剣を教えてくれた男勝りの姉、乙女も身分のことには口うるさい。「くそ、何が身分じゃ!こんな腐れ藩はおん出てやるわい!わしは江戸へ出て、身分なんぞハネ飛ばすでかい男になってやるわい!」19歳の春である。竜馬は剣術修行のため江戸に向かった。途中、大阪で辻斬りにあうが、その相手は同じ土佐で、竜馬より身分の低い足軽の子、岡田以蔵だった。大事な金を盗まれたが、足軽では藩から借金もできないと泣く以蔵に竜馬は親が用意してくれた五十両をすべてあげてしまう。それを見ていた男がいる。泥棒、寝待ノ藤兵衛。竜馬の人間にほれ込んだ藤兵衛は、勝手に子分になることを宣言し、旅の道づれとなる。藤兵衛の紹介で投宿した伏見寺田屋の女将、お登勢も竜馬の人柄に魅せられ、以後寺田屋は竜馬の定宿となる。江戸に着いた竜馬は桶町の千葉貞吉道場の門をたたくが、時代は竜馬に剣の修行だけをさせてはくれなかった。黒船がやってきたのだ。恐怖で騒然とする人々のなかで、竜馬の反応はちがっていた。「でっかい!まるで鉄のクジラじゃ!あんな船に乗ってみたい!」黒船に怯える幕府の弱腰に怒った若者たちの間には、尊王攘夷思想が膨らみつつあった。土佐藩の江戸藩邸でも、竜馬の親戚にあたる武市半平太が若者たちをまとめ、ひとつの勢力となっていた。竜馬も単純に尊王攘夷に染まっていくかに思えた。最初の留学期間が終わり、土佐に帰った竜馬に父の八平が思いがけぬことを告げる。「世は変わる。これからの世を治めるのは“武”ではのうて“商”じゃ。」竜馬の中になにかが芽生えていく。ふたたび江戸に出た竜馬は、水野播磨介という公家侍と知り合う。倒幕をめざす公卿に届ける密書を運んでいた播磨介は、追っ手が迫ると密書を竜馬に託し、自ら追っ手に切り込んで行き、惨殺されてしまう。「大儀」のために命を捧げた播磨介の勇気に感動した竜馬だったが、次の瞬間、違うものがはじけた。「ちがう…わしはちがうと思うぞ…命より大事なものなんか、この世にないわい!」
- 01:34:26第二部 脱藩あらすじをみる 万延元年3月3日、江戸桜田門外で、大老・井伊直弼は、水戸浪士と薩摩浪士によって暗殺された。この事件によって、徳川幕府の衰退は公然となり、歴史はさらに幕末の風雲に突き進むことになる。「倒幕じゃ!」「攘夷じゃ!」土佐でも武市半平太が「土佐勤王党」を旗揚げし、過激な手法で藩論を攘夷に変えようとしていた。竜馬も勤皇党に名を連ねるが、半平太のやり方には異論をとなえる。「人を殺してはいかん。他に道はある。それをみんなで考えるんじゃ!」竜馬は長州を訪れた。そこで出会ったのが長州きっての型破り、高杉晋作。高杉は言う。「今は藩内で戦っているときではない。われわれの敵は、あくまで幕府だ。それには、藩にも、身分にも、とらわれないことだ。即ソ、脱藩の覚悟なくては、何事もなしえない」「脱藩」竜馬の新たな方向が見えてきた。土佐勤王党は、ついに土佐藩参政、吉田東洋を暗殺する。東洋を貫いたのは、あの岡田以蔵の刀だった。脱藩して江戸に来た竜馬は、その後の人生を決定づける人物と出会う。幕府の海軍奉行並・勝海舟。「竜さん、ニッポンだよ。もう幕府だ藩だといっていてはダメだ。世界の中の、日本てえアタマで物事を考える時が来ているんだよ」竜馬は、勝と行動をともにすることを決意する。土佐勤王党は、今や京都で佐幕派の暗殺を繰り返していた。以蔵は「人斬り以蔵」と呼ばれ、恐れられる存在となっている。幕府の開国派の代表である勝に弟子入りした竜馬と武市半平太に決別の時がくる。「若い者を人斬りにするな。もう天誅はやめてくれ。以蔵のような、学問のない、何もわからん者を使って、人を殺すな!」竜馬は以蔵を武市から引き離し、勝の警護にあたらせる。京の町。燃えさかる屋敷に飛び込んで妹を助け出した女。竜馬はこのとき、炎の女、おりょうに出会った。あらすじをみる 万延元年3月3日、江戸桜田門外で、大老・井伊直弼は、水戸浪士と薩摩浪士によって暗殺された。この事件によって、徳川幕府の衰退は公然となり、歴史はさらに幕末の風雲に突き進むことになる。「倒幕じゃ!」「攘夷じゃ!」土佐でも武市半平太が「土佐勤王党」を旗揚げし、過激な手法で藩論を攘夷に変えようとしていた。竜馬も勤皇党に名を連ねるが、半平太のやり方には異論をとなえる。「人を殺してはいかん。他に道はある。それをみんなで考えるんじゃ!」竜馬は長州を訪れた。そこで出会ったのが長州きっての型破り、高杉晋作。高杉は言う。「今は藩内で戦っているときではない。われわれの敵は、あくまで幕府だ。それには、藩にも、身分にも、とらわれないことだ。即ソ、脱藩の覚悟なくては、何事もなしえない」「脱藩」竜馬の新たな方向が見えてきた。土佐勤王党は、ついに土佐藩参政、吉田東洋を暗殺する。東洋を貫いたのは、あの岡田以蔵の刀だった。脱藩して江戸に来た竜馬は、その後の人生を決定づける人物と出会う。幕府の海軍奉行並・勝海舟。「竜さん、ニッポンだよ。もう幕府だ藩だといっていてはダメだ。世界の中の、日本てえアタマで物事を考える時が来ているんだよ」竜馬は、勝と行動をともにすることを決意する。土佐勤王党は、今や京都で佐幕派の暗殺を繰り返していた。以蔵は「人斬り以蔵」と呼ばれ、恐れられる存在となっている。幕府の開国派の代表である勝に弟子入りした竜馬と武市半平太に決別の時がくる。「若い者を人斬りにするな。もう天誅はやめてくれ。以蔵のような、学問のない、何もわからん者を使って、人を殺すな!」竜馬は以蔵を武市から引き離し、勝の警護にあたらせる。京の町。燃えさかる屋敷に飛び込んで妹を助け出した女。竜馬はこのとき、炎の女、おりょうに出会った。
- 02:30:16第三部 襲撃あらすじをみる 焼け出されて身寄りのないおりょうを、竜馬は寺田屋に連れて行く。竜馬に惚れ込んでいるお登勢は、おりょうを養女として迎えることを快く引き受ける。このころ、それまで勤皇寄りと思われていた土佐藩の実権を握る山内容堂は、にわかに幕府寄りとなり、突如武市半平太率いる土佐勤王党への弾圧を開始した。武市、そして以蔵も逮捕された。竜馬と勝の人間に触れていた以蔵は、処刑の場で叫ぶ。「わしは、坂本竜馬門下、勝海舟先生従者!にんげん岡田以蔵である!」武市も切腹、ここに土佐勤王党は崩壊した。竜馬は新たな一歩を踏み出す。勝とともに神戸に海軍塾を創設するのだ。「海はでかい。船の上では、誰も殺したり殺されたりせんでもいい!」竜馬を慕う若者たちが集まり、海軍塾はスタートする。しかし時代は竜馬の思うようには進んでくれなかった。長州は性急な倒幕運動に走っていた。これを不快とした薩摩は、なんと徳川親藩の会津藩と組んで、一夜にして長州勢を一蹴した。京を追われた長州の残党はますます先鋭化し、天誅組、禁門の変などの騒乱を次々に起こしていく。そんな長州に同調する若者が海軍塾からも出てきた。「おんしらにはあの船が見えんのか!あの船が、いまにこの国を動かすときが来る!それまでは待て!」竜馬の叫びもむなしく、塾生たちは散り、海軍塾も不逞の輩を出したとして廃止されてしまう。このままでは倒幕はおろか、日本の将来を背負う有能な若者が同士討ちのような戦いで 死に絶えてしまう。打開策はひとつ。薩摩と長州を仲直りさせ、ともに倒幕にあたること。攘夷の両雄でありながら、関が原以来の怨念を持ちつづける薩摩と長州。竜馬の東奔西走が始まる。薩摩で西郷吉之助を説き、長州で桂小五郎、高杉晋作を説く。このとき、竜馬は維新の主役に躍り出た。そして、竜馬のいる寺田屋を幕府の役人が取り囲む!あらすじをみる 焼け出されて身寄りのないおりょうを、竜馬は寺田屋に連れて行く。竜馬に惚れ込んでいるお登勢は、おりょうを養女として迎えることを快く引き受ける。このころ、それまで勤皇寄りと思われていた土佐藩の実権を握る山内容堂は、にわかに幕府寄りとなり、突如武市半平太率いる土佐勤王党への弾圧を開始した。武市、そして以蔵も逮捕された。竜馬と勝の人間に触れていた以蔵は、処刑の場で叫ぶ。「わしは、坂本竜馬門下、勝海舟先生従者!にんげん岡田以蔵である!」武市も切腹、ここに土佐勤王党は崩壊した。竜馬は新たな一歩を踏み出す。勝とともに神戸に海軍塾を創設するのだ。「海はでかい。船の上では、誰も殺したり殺されたりせんでもいい!」竜馬を慕う若者たちが集まり、海軍塾はスタートする。しかし時代は竜馬の思うようには進んでくれなかった。長州は性急な倒幕運動に走っていた。これを不快とした薩摩は、なんと徳川親藩の会津藩と組んで、一夜にして長州勢を一蹴した。京を追われた長州の残党はますます先鋭化し、天誅組、禁門の変などの騒乱を次々に起こしていく。そんな長州に同調する若者が海軍塾からも出てきた。「おんしらにはあの船が見えんのか!あの船が、いまにこの国を動かすときが来る!それまでは待て!」竜馬の叫びもむなしく、塾生たちは散り、海軍塾も不逞の輩を出したとして廃止されてしまう。このままでは倒幕はおろか、日本の将来を背負う有能な若者が同士討ちのような戦いで 死に絶えてしまう。打開策はひとつ。薩摩と長州を仲直りさせ、ともに倒幕にあたること。攘夷の両雄でありながら、関が原以来の怨念を持ちつづける薩摩と長州。竜馬の東奔西走が始まる。薩摩で西郷吉之助を説き、長州で桂小五郎、高杉晋作を説く。このとき、竜馬は維新の主役に躍り出た。そして、竜馬のいる寺田屋を幕府の役人が取り囲む!
- 02:36:47第四部 希望あらすじをみる 襲撃され、瀕死の重傷をおった竜馬を、懸命に看病したのは、おりょうだった。九死に一生をえた竜馬はおりょうにプロポーズする。「そばに、いてくれよ…一生だぜ」二人は西郷のはからいで鹿児島への旅に出る。日本最初の新婚旅行である。これ以後、竜馬は長崎に本拠を移す。海運商社「亀山社中」の設立である。“海の商い”竜馬の夢がひとつ実現した。しかし、肝心の薩長連合は遅々として進まなかった。朝敵とされ、傷だらけの長州と、実利を追うあまり、決して本心を明かさない薩摩。まさに連合が破談になりかけたその時、竜馬は西郷に泣いて訴える。「長州が……かっ、可哀そうではないか!」西郷はやがて、膝を折ると、竜馬の前へていねいに正座して、改まる。「竜馬どの、まっことご貴殿の申される通りでごわした」薩長連合は成った。竜馬は次の手をうつ。倒幕で薩長に遅れをとった土佐と組んで新しい商社を興し、海から維新をサポートする。「海援隊」の誕生である。しかし、薩長は独走を始めた。積年の幕府への恨みをはらすには、武力によって徳川を叩き潰すしかないと合意したのだ。公卿の岩倉具視を動かし、倒幕の勅命を待っている。このままでは江戸が火の海になり、また人が死ぬ。竜馬最後の勝負が始まる。「政権を朝廷に奉還する」この奇策を幕府が受ければ、一滴の血も流さずに革命が成功する。「大政奉還」が先か、「倒幕の勅命」が先か… 竜馬は勝った。大政奉還は成った。しかし、ここから竜馬の孤立が始まる。倒幕によって幕府側に恨まれ、徳川を残したことで薩長に恨まれる。その上、新政府の名簿に自分を入れなかった。「これからの坂本竜馬の相手は海だ!世界だ!」慶応3年11月15日、竜馬暗殺。33回目の誕生日だった。「みんな聞いチくれ。誰も死なん、誰も殺さん、女子供が笑って暮らせる、わしはそういう日本国を作りたいんじゃ!ハハハ、ハハハ…!」竜馬の声が空に響く!あらすじをみる 襲撃され、瀕死の重傷をおった竜馬を、懸命に看病したのは、おりょうだった。九死に一生をえた竜馬はおりょうにプロポーズする。「そばに、いてくれよ…一生だぜ」二人は西郷のはからいで鹿児島への旅に出る。日本最初の新婚旅行である。これ以後、竜馬は長崎に本拠を移す。海運商社「亀山社中」の設立である。“海の商い”竜馬の夢がひとつ実現した。しかし、肝心の薩長連合は遅々として進まなかった。朝敵とされ、傷だらけの長州と、実利を追うあまり、決して本心を明かさない薩摩。まさに連合が破談になりかけたその時、竜馬は西郷に泣いて訴える。「長州が……かっ、可哀そうではないか!」西郷はやがて、膝を折ると、竜馬の前へていねいに正座して、改まる。「竜馬どの、まっことご貴殿の申される通りでごわした」薩長連合は成った。竜馬は次の手をうつ。倒幕で薩長に遅れをとった土佐と組んで新しい商社を興し、海から維新をサポートする。「海援隊」の誕生である。しかし、薩長は独走を始めた。積年の幕府への恨みをはらすには、武力によって徳川を叩き潰すしかないと合意したのだ。公卿の岩倉具視を動かし、倒幕の勅命を待っている。このままでは江戸が火の海になり、また人が死ぬ。竜馬最後の勝負が始まる。「政権を朝廷に奉還する」この奇策を幕府が受ければ、一滴の血も流さずに革命が成功する。「大政奉還」が先か、「倒幕の勅命」が先か… 竜馬は勝った。大政奉還は成った。しかし、ここから竜馬の孤立が始まる。倒幕によって幕府側に恨まれ、徳川を残したことで薩長に恨まれる。その上、新政府の名簿に自分を入れなかった。「これからの坂本竜馬の相手は海だ!世界だ!」慶応3年11月15日、竜馬暗殺。33回目の誕生日だった。「みんな聞いチくれ。誰も死なん、誰も殺さん、女子供が笑って暮らせる、わしはそういう日本国を作りたいんじゃ!ハハハ、ハハハ…!」竜馬の声が空に響く!