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あしたの少女
動画ポイント対象
550円 PG12 この作品は小学生以下には助言・指導が必要です
ソヒ:
韓国・全州市在住の女子高校生キム・ソヒ(キム・シウン)が、担任教師から紹介された会社で実習生として働き始める。大手通信会社の下請けであるその職場は、解約を希望する顧客に対応するコールセンターだった。何日かの研修を経て業務に就いたソヒは、最初に電話を受けた顧客からの罵声に肝を冷やす。 ソヒは勤務中、絶え間なくストレスにさらされていった。顧客の解約を阻止することを至上命題とするこのコールセンターは、従業員に厳しいノルマを課して他のセンターとの競走をあおり、勤労契約書で保証されているはずの成果給も支払ってくれない。ダンス好きで明るい性格のソヒには、高校を中退して動画配信を始めたジュニらの友だちがいるが、連日の残業で彼女たちとの約束を破るはめになってしまう。 そんなある日、コールセンターに激震が走った。従業員の指導役である若い男性チーム長が、会社の敷地内に止めた車の中で練炭自殺したのだ。すぐさま本社から派遣されてきた新たな女性チーム長は、業務の再開を従業員に指示するが、前日の残業中にチーム長から優しい言葉をかけられていたソヒは動揺を隠せない。会社側が自殺したチーム長への弔問を禁じたため、彼の葬式に参列したのはソヒだけだった。「5つのセンターの中でうちが最下位です。特にキム・ソヒさんは、あまりにも出来が悪い」。新チーム長から名指しで咎められたソヒは、つらい気持ちをのみ込んでセンターの成績向上に貢献するが、「実習生だから」という理由で成果給の支払いは先送りされた。顧客の要望を受け入れようとしない会社の方針にも疑問を感じたソヒは、ついにチーム長への不満を爆発させ、出勤停止3日間の懲戒処分を受けてしまう。謹慎中に親友のジュニとカラオケに繰り出したソヒは、雪が降り積もった夜道で手首を切って病院に運ばれる。その帰りの車中、ソヒは「仕事を辞めてもいい?」とつぶやくが、その切実な訴えは事情を知らない両親には届かなかった。翌日、実習先でのトラブルの件で高校の担任教師と面会するが、憔悴しきったソヒの悩みに耳を傾けようとしない担任は「なぜ失礼なマネを。お前は学校に損害を与えた」と説教し、「明後日から出勤しないとな」と言いつけるばかりだった。コールセンターで働き始めて3ヵ月にも満たないその日の午後、すべてに絶望したソヒは凍てつく郊外の貯水池に身を投げた。
ユジン:
貯水池でソヒの死後間もない遺体が発見された。捜査を担当する全州警察署の刑事オ・ユジン(ペ・ドゥナ)は、ソヒの両親による身元の確認や司法解剖などの手続きをひと通り済ませ、この案件を通常の自殺として処理しようとする。ところがソヒの勤務先のコールセンターで前チーム長が練炭自殺し、「従業員が搾取されている」と会社を批判する内部告発の遺書を残していた事実が発覚。しかも批判の隠蔽を謀った会社側が従業員に覚書へのサインを迫り、ソヒが最後までサインを拒んでいたことが判明する。ある従業員の証言によると、ソヒは前チーム長の自殺以降、様子がおかしくなったという。 コールセンター運営会社への不審を抱いたユジンは捜査の続行を決断し、ソヒが死の直前に立ち寄った食料品店の女主人、彼女が通っていたダンス・スタジオの仲間たち、元同僚への聞き込みを行う。そして会社に乗り込み、実習生への労働搾取の疑惑を問いただした。しかし会社側は「自殺した子の家庭は困窮していた」「お金への執着が強く、情緒不安定だった」とソヒに非があったと主張した揚げ句、「被害を受けたのは我々のほうです。イメージが傷ついた」と言い放つ。感情を押し殺して会社側の言い分を聞いていたユジンは、「前チーム長の件はうまく乗りきれても、これは次元が違います。彼女は高校生で、純然たる被害者です」と告げるのだった。
その後も上司の制止を振りきって捜査を継続した ユジンは、多くの青少年が職場で理不尽な目に遭い、誰にも気にかけてもらえず孤立している現実を知る。その背後には構造的な問題があった。生徒を実習先に送り出す学校も、現場実習制度を監督する教育庁も就業率を優先し、生徒の適性や労働環境のチェックをおざなりにしていた。 なぜ、ソヒのような少女が自死を選択せざるをえなかったのか。どうして、大人たちは彼女に救いの手を差し伸べなかったのか。捜査中に幾度となく悲しみと怒りに苛まれてきたユジンは、やるせない無力感に打ちひしがれる。そんなユジンのもとに、行方不明だったソヒの携帯が見つかったとの知らせが届く。あらゆるメッセージや写真が削除されていたその携帯には、1本の動画だけが残されていた……。
- ジャンル
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制作国
韓国
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制作年
2022年
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キャスト
ペ・ドゥナ キム・シウン チョン・フェリン カン・ヒョンオ パク・ウヨン チョン・スハ シム・ヒソプ チェ・ヒジン
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スタッフ
監督・脚本 : チョン・ジュリ