蟻の王

02:20:04
動画ポイント対象
550円 「罪という字を消して勇気と書く。愛という字を消して君と書く…。」 1959年春、イタリア・エミリア=ロマーニャ州ピアチェンツァ。 詩人で劇作家また蟻の生態研究者でもあるアルド・ブライバンティ(ルイジ・ロ・カーショ)は、芸術サークルを主催し、そこには多くの若者が集っていた。 ある日、兄に連れられエットレ(レオナルド・マルテーゼ)という若者がやってくる。アルドが探していたクロナガアリをエットレが持ってきたことで、二人は初めて言葉を交わす。エットレにはデザインや絵画の道に進みたいという夢があるが、母親の希望で医学を学んでいることを知ったアルドは、「親に従う必要はない 産んでくれただけで十分だ」と諭す。博識で気さくに話しをしてくれるアルドにエットレは心惹かれ、芸術サークルに通うように。だが兄からは「あそこへは二度と行くな」「いずれお前も苦しむ」と理不尽な忠告を受けるのだった。 芸術や哲学など、あらゆる話題を語り合い、互いに魅了され、仲を深める二人。エットレはアルドの元に通い詰めるようになる。だが、アルドは同性愛者として偏見に満ちた悪い噂を流されており、エットレの母親は二人の関係に憤り、あろうことか教会でアルドの母親であるスザンナを罵るのだった…。 「私は彼らとは違う だが同じでもある」 5年の月日が流れた1964年春に、アルドとエットレは、ローマに出て共に暮らしていた。二人で美術館を巡っていたある日、アルドの旧友ジョヴァンニに再会し、彼の誕生日パーティーに参列することに。初めて同性愛者のコミュニティのパーティーに参加するエットレは、そのあまりの賑やかさに圧倒されてしまう。そんな彼にアルドは、「私は彼らとは違う だが同じでもある」と語りかける。 ローマで充実した生活を送っていた二人だったが、ある朝突然、エットレの母親と兄が二人の部屋に押しかけ、エットレを強制的に連れ去ってしまう。エットレは同性愛の“治療”のために矯正施設に入れられ、幾度となく電気ショックを受けさせられる。さらに、アルドは、「一個人をそそのかし完全に従属させる者は5年から15年の禁固刑」とされる教唆罪に問われ、逮捕されてしまうのだった―。 「我が国に同性愛者はいない ゆえに法律もない」—ムッソリーニ 1968年夏、イタリア・ローマ。 イタリア共産党機関紙「ウニタ」の記者であるエンニオ(エリオ・ジェルマーノ)は、新聞報道でアルドが教唆罪で逮捕されたことを知る。同性愛者のアルドが教唆の罪に問われたことを不審に思い、エンニオは裁判を取材することに。アルドの教唆罪裁判が始まり、証人としてエットレの母や兄をはじめとした人々が証言台に立つ。だが、アルドは多くを語らず沈黙を貫き、法廷では同性への「性的暴行」という言葉さえ不適切とされる。そしてアルドは検察から学者としても辱めを受けるのだった。 「殉教者にはならない 怪物にも」 エンニオの従姉妹のグラツィエラ(サラ・セラヨッコ)をはじめとするアルドの支援者たちが、裁判に反対するデモ活動を展開していく。またエンニオも機関紙に記事を掲載するが、「同性愛者」「共産党」といった言葉は、編集長の「変態の擁護はしない」という方針で、検閲で削除され、エンニオはジレンマを抱えていく。 そして、いよいよエットレが証言台に立つ日が訪れる。彼は何を語るのか。裁判の行方はどうなるのか――。
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  • スタッフ
    監督・脚本 : ジャンニ・アメリオ 脚本 : エドアルド・ペティ、フェデリコ・ファバ 編集 : シモーナ・パッジ 撮影 : ルアン・アメリオ・ウイカイ 美術 : マルタ・マッフッチ 衣装 : ヴァレンティーナ・モンティチェッリ 製作 : シモーネ・ガットーニ、ベッペ・カスケット
(C) Kavac Srl / Ibc Movie/ Tender Stories/ (2022)

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