RefRain

　人気声優として数々のアニメ作品に出演する上田麗奈が、このたび、ランティスよりアーティストとしてデビュー。本人名義のファーストアルバム「RefRain」をリリースすることとなった。
　全６曲構成となるこのアルバム、最大の特徴となっているのが、彼女の音楽に対するこだわりが強く反映された作品作りだろう。まず、歌詞については６曲全てが上田麗奈自身と松井洋平（TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDメンバーにして作詞家）との共作によって生み出されているほか、楽曲は田中秀和 (MONACA)やTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND、佐藤純一 (fhana)、shilo、rionosなどの著名アーティストが提供。さらに、ジャケットやミュージックビデオなど、あらゆる関連コンテンツを彼女自身が監修。監督やデザイナーなど、各スタッフと入念な打ち合わせを行うことで、彼女の表現したいイメージやインスピレーションなどが細部まで投影されているという。そんな、上田麗奈が全身全霊を込めた、全てが“上田麗奈”で満ちているアルバムを、大いに楽しんで欲しい。

＜サウンドインプレッション＞
　声優アーティストのソロ活動作品といえば、一般的には“音楽のプロ達が声優ならではの声のアドバンテージを巧みに引き出した作品を作る”といったイメージが強かったりする。それは決してネガティブな意見ではなく、アーティスト本人の資質を客観的に判断できる人が新たなる可能性を引き出す、という意味があり、それはそれで素敵なアプローチではあるのだが、本作「RefRain」はそういった既存作品とはずいぶんイメージが異なっている。上田麗奈本人が積極的に作品作りに参加することで、確固たる世界観が構築されているのだ。
　ポップな曲調があったり、リズミカルなテンポの曲やジャジーな曲調があったりと、1曲1曲はそれぞれ個性的な楽曲が並ぶものの、歌詞やアレンジなどに統一的なイメージ、まるで幻想の世界にでも迷い込んだかのようなドラマティックな世界観が広がっている。おかけで、最初の1曲目が始まったとたん、ぐいぐいと音楽の世界に引き込まれていく。そして気がつくと、最後の曲まであっという間に聴き終わってしまっているのだ。
　最終的に心に残ったのは、“シンガー”上田麗奈の美しく心地よい歌声。ああ、こんなにまで心穏やかになる、同時に新たな活力をもらえるアルバムはそうそうない。この美しい歌声をあますことなく存分に堪能するためにも、ぜひ、ハイレゾ版をオススメしよう。


（野村ケンジ）


制作フォーマット：HD Master 96kHz/32bit floating
配信フォーマット：96kHz/24bit flac
マスタリングエンジニア：原田光晴
マスタリングスタジオ：Magic Garden Mastering