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友達との関係とか、好きな人の記憶とか、記憶が戻る前後の葛藤とか、読んでいて切ない。

切ないけどすごくいい物語でした

交通事故で記憶を無くした女の子が戸惑いながらも自分を見つめ直していくお話。作者インタビューによるとタイトルのシックスハーフは靴のサイズのことだそうで、記憶がなくても同じ体で歩いていかなきゃならないという意味が込められているそうです。その意味の通り、主人公の詩織は自分のことが何もわからないまっさらな状態で辛い思いを抱えながらも、懸命に自分の道を歩んでいきます。リセットされた人生の中で見失った自分を取り戻していくにつれて、目を背けたかった苦しい現実と向き合わなければならなくなるのが、読んでいるこちらまで苦しくなりました。生きていくことの意味を改めて考えさせられる作品です。

「シックスハーフ」は主人公が記憶喪失になるというありふれたストーリーのはずが、主人公がめっちゃヤな奴だという今までにない設定にいい意味で期待を裏切られる作品です。たいていこのテの作品は周囲の人たちがめっちゃいい人ばかりなのですが、このシックスハーフはそうはいきません。気になってどんどん先を読んでしまいます。

シックスハーフは、事故で記憶を失ってしまった主人公と家族、友人のおりなす少し複雑なお話です。心温まる内容ではあるのですが、人間のいい本質も、嫌な本質もさらけだされていて、本人も周りの大多数の人もこのまま記憶が戻ってほしくないと思い合っているなんとも不思議で複雑な展開です。