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日本の歴史の中でも、平安時代と江戸時代は比較的穏やかな時代として取り上げられることが多い。時代小説となると顕著で、幕末を除き江戸時代の庶民の暮らしを描いた作品がジャンルの数多くを占めるだろう。そんな中で江戸の裏社会を徹底的に描いた「コルトM1851残月」は異彩をはなっている。主人公・郎次はけして上には立てない下っ端のヤクザである。ある程度頭は回る男だが爪の甘さも目立ち、それが彼を窮地に陥れていく。ラストの銃撃戦は江戸時代という舞台がさらに緊張感を際立たせ、読者のうなるラストに持っていく。時代小説の新たな地平を見せてくれる1冊。
2015/04/17