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大好きな作品で、この「赤朽葉家の伝説」を読んで作者のファンになりました。とはいえたぶん好き嫌いの分かれる作品だと思います。そもそも「○○の話」と一言で言えない。軸は女三世代の大河小説というところでしょうか。でも設定はやや、第1部の万葉の章はかなり現実離れしているので、時代背景がわかるという類のものでもない。にもかかわらす、この作品からはその時代の圧倒的なパワーを感じるのです。万葉の章からは激変する時代のパワーが。第2部の毛鞠の章からは、校内暴力全盛期の時代の臭いが。そして一転、平成の世である第3部の瞳子の章は、拍子抜けするほど淡々とした調子で語られます。今の時代の停滞感・閉塞感のように感じられます。全体に桜庭作品特有のどこかおどろおどろしい雰囲気をまといながらも、読後は風が吹き抜けたような爽快感を感じる。そんな作品です。
2015/04/22