東京創元社 1,820件 人気順 新着順 白夜に沈む死 上 オリヴィエ・トリュック(著)/久山葉子(訳) 石油景気に沸く沿岸の町ハンメルフェスト。町に侵入するトナカイをめぐりトナカイ所有者と住人とのトラブルが絶えない。そんななかトナカイ所有者の青年が、本土から島の餌場にトナカイを移動させている最中に狼湾(ヴアリギスンド)で事故死した。数日後、同じ湾で市長が死体で見つかる。偶然かそれとも? 腑に落ちないものを感じたトナカイ警察のクレメットとニーナだったが、青年が死亡した日にクレメットの叔父が撮った写真に怪しげな動きの人影が写っていた。日の沈まない夏の北極圏、北欧三国にまたがり活躍する特殊警察所属の警察官コンビが事件を追う。 1,200円 神々の宴 オーリエラントの魔道師たち 乾石智子(著) 本の魔道師ケルシュが町で拾った少年は狐に似た獣を連れていた――「ジャッカル」、瀕死の者を助ける生命の魔道師が向き合うことになった過去の亡霊とは――「ただ一滴の鮮緑」など、全5編の短編を収録。自らのうちに闇を抱え、人々の欲望の澱を引き受け、黒い運命を呼吸する魔道師たち。ときに迫害を受け、ときに体制に反抗する人々に手を貸し、栄光に包まれることもなく、賞賛を浴びることもない、そんな市井に生きる魔道師たちの姿を描く短編集。巻末にこれまではっきりとは描かれてこなかった、オーリエラントの神々についての資料を付す。/【目次】セリアス/運命女神(リトン)の指/ジャッカル/ただ一滴の鮮緑/神々の宴/あとがき――神々の存在 946円 蘇りし銃 ユーン・ハ・リー(著)/赤尾秀子(訳) 暦法改新から9年。旧六連合域には民主制を標榜するブレザン率いる協和派と、六連合の復活を目指すイネッサー率いる護民派が割拠していた。ジェダオは、自らの不死を維持しようとするクジェンの手によって復活し、彼のもとで艦隊を率いて出撃する。一方、チェリスは姿をくらまし、六連合の復活を阻止しクジェンの野望を挫くべく独自の動きを見せる。銀河を巻きこんで各者の思惑が交錯する中、いよいよ最終決戦が迫る。『ナインフォックスの覚醒』『レイヴンの奸計』につづくローカス賞受賞三部作完結編。2019年ヒューゴー賞、クラーク賞候補。 1,599円 明智卿死体検分 小森収(著) その男は、四阿(あずまや)いっぱいの雪に埋もれて凍死していた。この異常な状況は、おそらく魔術によるものだ──それも上級魔術師の。事件関係者は、調略に長けた軍人、毒見役の陰陽師、そして“タレント”を持つ近衛将曹ら、一癖も二癖もある者ばかり。魔術を行使して人を殺めると、その証が術者の相貌に顕われるが、関係者にその気配はない。では、誰が、なぜ、そしてどうやって殺人を為し遂げたのか? 菊の御料所で発生した不可能犯罪を調査するのは、権刑部卿・明智小壱郎光秀(あけちこいちろうみつひで)と、陰陽師・安倍天晴(あべのてんせい)。『短編ミステリの二百年』で日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を制した著者が、魔術が存在する“日(ひ)の本(もと)”を舞台に贈る傑作本格ミステリ。 1,699円 完璧な秘書はささやく ルネ・ナイト(著)/古賀弥生(訳) 人里はなれたところにある〈ザ・ローレルズ〉で、過去の新聞記事をスクラップしながら、わたしは回想する――英国の大手スーパーマーケットの社長マイナ・アプルトンの秘書として活躍した日々を。長くわたしは、完璧な忠誠心と職務遂行能力をもって、私生活を犠牲にしてまで彼女に仕えてきた。マイナの父を会社から追い出したときも、名誉毀損で記者を訴えた裁判のときも。強い信頼で結ばれたこの関係は、ずっと続くと思っていた――オフィスに警察がやってくるまでは。予測不能の展開に、じわじわとにじみ出る怖さ。俊鋭が放つ、傑作サスペンス!/解説=若林踏 1,300円 なぜではなく、どんなふうに アリアンナ・ファリネッリ(著)/関口英子(訳)/森敦子(訳) 大学で政治学とグローバリゼーションを講じながら子育てをするイタリア系女性ブルーナは、自立心が強く進歩的だ。しかし医師でもある夫もその両親も保守的で差別と偏見に満ちている。両親に逆らえない夫、性同一性障害の幼い息子……。仕事と家庭の板挟みに苦しむブルーナの人生が教え子のムスリム青年の出現で覆る。そして彼の突然のISISへの出立。人種差別、性差別、移民問題……分断化が進む現代アメリカ社会で生きる彼女の人生が、今を生きる私たちすべての人生に重なり、訴えかけてくる。本書は著者のデビュー作で、イタリアの著名なジャーナリスト(イタリアの表現の自由・報道の自由のシンボル的存在で、『死都ゴモラ』や『コカイン ゼロゼロゼロ』といったノンフィクションで日本でも知られる)ロベルト・サヴィアーノ監修のフィクション&ノンフィクションのシリーズ「弾薬庫(ムニツィオーニ)」叢書の第一弾として刊行された作品である。 2,530円 炎の爪痕 アン・クリーヴス(著)/玉木亨(訳) ヘレナ・フレミングは憂鬱だった。家族で引っ越してきたシェトランド本島の家の納屋で、まえの持ち主が首吊り自殺を遂げて以来、何者かが敷地に侵入し、謎めいた紙片をあちこちに残していくのだ。たまりかねてジミー・ペレス警部を訪れ相談をした翌日、同じ納屋で今度は女性の首吊り死体が発見される。彼女は島の旧家モンクリーフ一家の子守りだった。ふたつの死に関連はあるのか? ペレスは上司のウィローや部下のサンディとともに捜査に当たる……CWA最優秀長編賞受賞作『大鴉の啼く冬』から始まったペレス警部シリーズ、感慨無量の最終巻。/解説=古山祐樹 1,500円 危険な蒸気船オリエント号 C・A・ラーマー(著)/高橋恭美子(訳) ブッククラブのメンバー五人は、1900年代初頭の船を再現した蒸気船オリエント号での豪華クルーズに参加していた。というのも、もうひとりのメンバーでオリエント号の臨時の医師アンダースに、格安な料金になるからと誘われたのだ。アリシアにとっては恋人アンダースとのロマンティックな船旅のはずだった。だが、乗客が死亡したり海に転落して行方不明になったりで、それどころではない雰囲気に。ミステリマニアの血が騒ぎ、転落事故に不審を抱いたアリシアらは独自の調査をはじめる。クリスティ好き読書会の面々が大活躍のシリーズ第2弾! 1,200円 グッゲンハイムの謎 ロビン・スティーヴンス(著)/シヴォーン・ダウド(原案)/越前敏弥(訳) 夏休みを迎えた12歳のテッドは、母と姉といっしょに、グロリアおばさんといとこのサリムが住むニューヨークを訪れた。おばさんはグッゲンハイム美術館の主任学芸員で、休館日に特別に入館させてくれた。ところが改装中の館内を見学していると、突然、何かのきついにおいと、白くて濃い煙が。火事だ! テッドたちは、大急ぎで美術館の外に避難した。だが火事は見せかけで、館内の全員が外に出た隙に、カンディンスキーの名画〈黒い正方形のなかに〉が盗まれていたのだ。しかも、おばさんが犯人だと疑われて逮捕されてしまう。なんとしても絵を取りもどして、おばさんの無実を証明しなければ。「ほかの人とはちがう」不思議な頭脳を持つテッドは、絵の行方と真犯人を探すため謎解きに挑む。『ロンドン・アイの謎』につづく爽快なミステリ長編! 1,999円 紙魚の手帖Vol.08 飛鳥井千砂(著)/寺地はるな(著)/米澤穂信(著)/ほか(著) 飛鳥井千砂、嶋津 輝、高山羽根子、寺地はるな、雪舟えまの豪華執筆陣による、テーマ読み切り競作「冠婚葬祭」。米澤穂信、シリーズ最新作「倫敦スコーンの謎」掲載ほか。/【目次】【小鳩君と小佐内さんが活躍する、シリーズ最新短編!】倫敦(ロンドン)スコーンの謎 米澤穂信●年に一度のお楽しみ、シリーズ最新作。今回は小佐内さんの小市民的スクール・ライフのために小鳩君が知恵を貸します/【読切特集「冠婚葬祭」】もうすぐ十八歳 飛鳥井千砂●〈冠〉“成年年齢”ってなんだろう。二〇二二年、智佳は十八歳の岐路を想う/ありふれた特別 寺地はるな●〈冠〉成人式の朝、果乃子は二十年前を思い出す。話題の著者が描く、じんわり温かな物語/二人という旅 雪舟えま●〈婚〉家読みのシガとクローンのナガノ。二人の旅が迎える“おわり”と“はじまり”/漂泊の道 嶋津 輝●〈葬〉 葬儀で出会ったうつくしいひとは、いつも彼女らしい喪服を着ていた/祀りの生きもの 高山羽根子●〈祭〉 神社のおまつりで手に入れた不思議な生きもの。その正体はゆらゆらと曖昧でよくわからないまま/【小説】明治殺人法廷 第2回 芦辺 拓●明治二〇年冬、保安条例によって東京を追われる民権派の人々。その中には探訪記者・筑波の姿もあった/かなり具体的な提案 犯罪相談員〈4〉 石持浅海●あいつは彼女を見捨てたうえ、私のことも裏切った。恨みを晴らすべく、相談員との会話にヒントを得て行動を起こすが……/1(ONE) 中編 加納朋子●町で起こった騒動を経て、我が家に仔犬がやって来たが……。〈駒子〉シリーズ最新作!/きみのかたち 第5回 坂木 司●待ちに待った、新五年生としての初登校。でも、学校ではいろんなことが変わっていて……/特撮なんて見ない 第5回 澤村伊智●脅迫状や主演の演技など問題が続出する中、真帆が怪獣のスーツアクターとしてスカウトしたのは?/記憶の対位法 第3回 高田大介●祖父の遺した黒い箱には、謎そのものが入っていた。ジャンゴは意外な人物の助力のもと、探究に乗り出す/モンドールの理由 近藤史恵●「松島くんが、この業界に残りたくなるような料理を作ってよ」羽田野さんの難題に三舟シェフはどう応えるのか……/刑事何森 エターナル 丸山正樹●飯能のラブホテルで発生した殺人事件。被疑者が残した「ラッソン」の意味とは?/オークの心臓集まるところ サラ・ピンスカー 市田 泉 訳●古いバラッドについての推理は、恐るべき真相に近づき……二〇二二年ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞受賞作/【特別企画】矢吹駆連作の舞台裏 笠井 潔/【ESSAY】装幀の森 第4回 アルビレオ/ぼくたちが選んだ 第6回(最終回) 北村 薫・有栖川有栖・宮部みゆき/翻訳のはなし 第6回 声が大事なんです 市田 泉/【COLUMN】ひみつのおやつ*砂糖湯と食パン 榎田ユウリ/私の必需品*たった4分のエール 内山 純/【INTERVIEW 期待の新人】荻堂 顕/【INTERVIEW 注目の新刊】『水底のスピカ』 乾 ルカ/『青木きららのちょっとした冒険』 藤野可織/【訃報】追悼 津原泰水 北原尚彦・紅玉いづき/【BOOKREVIEW】[文芸全般]瀧井朝世/[国内ミステリ]宇田川拓也/[翻訳ミステリ]村上貴史/[SF]渡邊利道/[ファンタジイ]三村美衣/執筆者紹介/編集後記・次号予告 1,500円 11文字の檻 青崎有吾短編集成 青崎有吾(著) 『体育館の殺人』の衝撃のデビューから10年。“平成のエラリー・クイーン”と称された青崎有吾は、短編の書き手としても高い評価を獲得し、作品の幅を広げ続けている。JR福知山線脱線事故を題材にした人間ドラマ「加速してゆく」、全面ガラス張りの屋敷で起きた不可能殺人の?末「噤ヶ森の硝子屋敷」、観測不能な最強の姉妹を追う女たちの旅路「恋澤姉妹」、奇妙な刑務所に囚われた男たちの知力を尽くした挑戦を描く力作書き下ろし「11文字の檻」に、人気コミックのトリビュート作やショートショートまで、10年の昇華である全8編を収録。/【目次】まえがき/加速してゆく/噤ヶ森の硝子屋敷/前髪は空を向いている/your name/飽くまで/クレープまでは終わらせない/恋澤姉妹/11文字の檻/著者による各話解説 789円 シュレーディンガーの少女 松崎有理(著) BMIを理由に会社を解雇された主人公の元に、政府からダイエット企画の参加者に選ばれたという通知が届く。それは“敗者は死なねばならない”というルールのデスゲームだった(「太っていたらだめですか?」)。すべての人は例外なく、65歳の誕生日を迎える前後で死ぬ。64歳になった紫は、人生の目標をほぼ達成していたが、スリの子どもから被害に遭いかけ、追いかけていったすえにその子を手元に引き取ることに……(「六十五歳デス」)。さまざまなディストピア世界を生きのびる、パワフルで勇敢な女性たちの物語。あとがきに自作解説を含む。/【目次】六十五歳デス/太っていたらだめですか?/異世界数学/秋刀魚、苦いかしょっぱいか/ペンローズの乙女/シュレーディンガーの少女/著者あとがき 946円 世界のはての少年 ジェラルディン・マコックラン(著)/杉田七重(訳) 子ども9人と大人3人を乗せた船が、スコットランドのヒルタ島から無人島へと出航した。孤島で海鳥を獲る旅が、この島の少年たちにとっては、大人への通過儀礼なのだ。だが、約束の3週間が経っても、迎えの船は一向に姿を現さず、このまま島から出られないのではないかと、不安が皆の心を蝕み始める。そんななか年長の少年のひとりクイリアムは、密かな決意を胸に、希望を捨てることなく仲間を励まし、生きのびるために闘うのだった。果たして迎えは来るのか? カーネギー賞受賞作。YAの名手が実際の事件をもとに描いた、勇気と成長の物語。 1,100円 ウィンダム図書館の奇妙な事件 ジル・ペイトン・ウォルシュ(著)/猪俣美江子(訳) 1992年の静かな2月なかばの朝。ケンブリッジ大学の古色蒼然たる貧乏学寮セント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師(カレッジ・ナース)イモージェン・クワイのもとに、学寮長が駆け込んできた。キャンパス内のおかしな規約で知られる〈ウィンダム図書館〉で、学生の死体が発見されたのだ。学生は何らかの理由で倒れた拍子にテーブルの角に頭をぶつけたと見られ、その遺体のそばには古書が一冊。たんなる事故なのか、それとも……? 巨匠セイヤーズのピーター・ウィムジイ卿シリーズを書き継ぐことを託されたほどの実力派作家による、英国ミステリの逸品登場!/解説=三橋曉 1,100円 英国クリスマス幽霊譚傑作集 チャールズ・ディケンズ(著)/他(著)/夏来健次(編) ヴィクトリア朝期、ディケンズ『クリスマス・キャロル』がベストセラーとなって以降、聖夜の訪れに伴って出版社は作家に怪奇小説の新作を依頼し、特別なシーズンの贈り物として大衆に届けた――幽霊をこよなく愛するイギリスの国民性に根ざす慣例から生まれた作品を、数々の怪奇幻想小説を紹介する翻訳家が精選する。古屋敷に招かれた男が鏡の中に見た幻影「鋼の鏡、あるいは聖夜の夢」、もの悲しい海岸の村で起きたゴシック的怪異を綴る「海岸屋敷のクリスマス・イヴ」、奇妙な下宿で女性が体験する恐怖の一夜「メルローズ・スクエア二番地」など、知られざる傑作から愛すべき怪作まで13篇を収録。集中12篇が本邦初訳。/【目次】クリスマス・ツリー チャールズ・ディケンズ/死者の怪談 ジェイムズ・ヘイン・フリスウェル/わが兄の幽霊譚 アメリア・B・エドワーズ/鋼の鏡、あるいは聖夜の夢 ウィリアム・ウィルシュー・フェン/海岸屋敷のクリスマス・イヴ イライザ・リン・リントン/胡桃邸の幽霊 J・H・リデル夫人/メルローズ・スクエア二番地 セオ・ギフト/謎の肖像画 マーク・ラザフォード/幽霊廃船のクリスマス・イヴ フランク・クーパー/残酷な冗談 エリザベス・バーゴイン・コーベット/真鍮の十字架 H・B・マリオット・ワトスン/本物と偽物 ルイーザ・ボールドウィン/青い部屋 レティス・ガルブレイス/編者あとがき 夏来健次 1,200円 オイディプス症候群 笠井潔(著) 中央アフリカで発見された謎の病、アブバジ病に罹患したパストゥール研究所の学者フランソワ。病床の彼から預かった資料を、ナディア・モガールと矢吹駆は、フランソワの師・マドック博士に届けるため、アテネへと旅立った。しかし博士は、エーゲ海の孤島・ミノタウロス島に渡っていた。彼を追うナディアと駆。島の館・ダイダロス館には、二人を含む十人の男女が集まったが、嵐で島は孤立、ギリシア神話をなぞるように装飾された客たちの死体が次々に発見される。奇怪な連続殺人の真相は? シリーズ中白眉といわれる、記念碑的傑作本格ミステリ。/解説=飯城勇三 1,799円 疑惑の入会者 アリスン・モントクレア(著)/山田久美子(訳) 戦後ロンドンで〈ライト・ソート結婚相談所〉を営むアイリスとグウェン。ある日、初めてアフリカ出身の入会希望者が現れた。ダイーレイは流暢な英語を話す好青年で、ふたりは白人以外にも門戸を開こうと決意する。だが一方で、グウェンの直感は彼の言葉が嘘だらけだと告げていた。さらに、グウェンは自宅付近でダイーレイに出くわし、つけられていると感じた。彼には、結婚相手をさがす以外の目的があるのでは? 元スパイと上流階級出身、対照的な女性コンビに危機が迫る! 短編「机の秘密」を同時収録したお仕事ミステリ・シリーズ第三弾!/解説=若林踏 1,496円 カッコーの歌 フランシス・ハーディング(著)/児玉敦子(訳) 「あと七日」意識を取りもどしたとき、耳もとで笑い声と共にそんな言葉が聞こえた。 頭が痛い……。わたしは……わたしはトリス。昨日池に落ちて記憶を失ったらしい。少しずつ思い出す。母、父、そして妹ペン。ペンはわたしをきらっている、憎んでいる、そしてわたしが偽者だと言う。なにかがおかしい。破りとられた日記帳のページ、異常な食欲、恐ろしい記憶。そして耳もとでささやく声。「あと六日」。わたしに何が起きているの? 大評判となった『嘘の木』の著者が放つサスペンスフルな傑作。英国幻想文学大賞受賞、カーネギー賞最終候補作。/解説=深緑野分 1,400円 こうしてイギリスから熊がいなくなりました ミック・ジャクソン(著)/田内志文(訳) 電灯もオイル・ランプもなく、夜がまだ謎めいていたころ、森を忍び歩く悪魔として恐れられた「精霊熊」。死者のための供物を食べさせられ、故人の罪を押しつけられた「罪食い熊」。スポットライトを浴びせられ、人間の服装で綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。ロンドンの下水道で、雨水や汚れを川まで流す労役につかされた「下水熊」。──現在のイギリスに、この愛おしい熊たちはいません。彼らはなぜ、どのようにしていなくなったのでしょう。『10の奇妙な話』の著者であるブッカー賞最終候補作家が皮肉とユーモアを交えて紡ぐ8つの物語。/【目次】1 精霊熊/2 罪食い熊/3 鎖につながれた熊/4 サーカスの熊/5 下水熊/6 市民熊/7 夜の熊/8 偉大なる熊(グレート・ベア)/訳者あとがき/解説=酉島伝法 880円 白野真澄はしょうがない 奥田亜希子(著) 小学四年生の「白野真澄」は、強い刺激や予想できない出来事が苦手だ。横断歩道も黒いところを踏むと心に影が差すような気がして、いつも白いところだけを渡って歩いている。なるべく静かに日々を過ごしたいと思っているのだが、翔が転校してきてから、その生活は少しずつ変化していき……(表題作)。頼れる助産師、駆け出しイラストレーター、夫に合わせて生きてきた主婦、恋人への不満を紛らわすように浮気をする女子大生。五人の不器用な「白野真澄」たちが抱える五者五様の生きづらさを、曇りのない眼差しでまっすぐに見つめた傑作短編集。/【目次】名前をつけてやる/両性花の咲くところ/ラストシューズ/砂に、足跡/白野真澄はしょうがない/解説=大矢博子 740円 1 ... 222324 ... 91 TOP 電子書籍(本・小説) 東京創元社 23ページ目