ボイジャー 2,102件 人気順 新着順 誰もがいま淋しい 片岡義男 夏から秋へ。その時、誰もが淋しい。 作者自身が「あとがき」に述べているようにこの作品はそれぞれ別々に書かれた6つの短編をひとつの流れにつなげ、その集合が全体を構成するように作られている。 ショートストーリーを6つつなげているのだからあるタイミングで登場人物はスイッチし、全体を通しての主人公のような人物は存在しない。 にもかかわらず確かに「1つ」を感じさせるのは5月から秋のはじまりに向かう季節の推移の自然さと各ショートストーリーの人物たちが宿している「愛」のようなものに対する独自の距離感とそこから派生する「淋しさ」があるからだろう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 寝顔やさしく 片岡義男 一緒に眠るよりも良いこと 思えば、寝顔ほど無防備なものもまたとないのかもしれない。 東京駅にいて、眠たくてたまらない、となれば普通は一刻も早く勝手知ったるわが家へ急行するはずだが、それよりももっと別の場所で眠りたい、となればその場所の主との関係の親密さは明らかだ。 ぐっすりと眠ったあとには、贈りものが待っている。 他にはない、最上のおだやかさがそこには待っている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 花一輪 片岡義男 不自然と呼ぶ理由は何もない いくつもの片岡作品がそうであるように女性1人に男性2人、というパターンの短篇である。 三角関係と言ってもいいが、しかし男性同士は友人であり嫉妬のない三角関係だ。 彼らはそれを楽しむ。世の常識への反抗でもないし、特別、欲望に溺れるわけでもなく。 とはいえ、一晩の酩酊くらいはあるだろう。 酔った姿がまた、美しき花一輪だ。 「鑑賞」しながら男たちはコーヒーを飲む。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 右の頬に触れる指さき 片岡義男 その涙、その指 女性と男性は常に1対1の対等の関係にある。 しかしながらそれはAとB、CとDといった固定されたものでなく、AはBと親密、AはCとも親密、そのうえBとCもまた面談し、親しく交際するのだからそうすることがすなわち個人でありその人がまさにその人であることなのだ、と多くの片岡作品同様、この短篇もそう告げている。 その関係の交錯に不意に挿入される涙、カメラが捉えるか捉えないか微妙なその指、それを読むのが小説を読む、ということかもしれない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 昔々、ある夏の日に 片岡義男 2つの約束は、真夏の空の下で果たされる。 17歳、盛夏。青春の真っ只中の時間に、ボビーと呼ばれる少年は2つの約束を果たすためオートバイに乗って西へ向かう。 1つはオートバイを売却するため。 もう1つはそこからの帰路、同級生の女の子に会うためだ。 2つの約束のために、2つのよくできた略地図が役に立ち、約束は首尾よく果たされる。 しかし、まぶしいほどの夏の光の中に1つの闇があったことをボビーは少女に話さない。 2人の頭上には、ホースから無限にあふれてくる水と真っ青な夏の空が広がっているばかりだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 忘れてあげない 片岡義男 記憶の中にも、ジャンプ! 短篇集『ボビーをつかまえろ』に収録された作品。 同年齢の異性の誕生日に豪勢な花束を持って現れ、しかも2シーターでドライヴまで敢行する。 こんなことが17歳で可能か? というユートピア性とこんなことは17歳という年齢以外ではムリだろう、という奇妙な説得力が、作品世界を支配する。 そして極めつけのラストシーン。 さてこのあとはどうなるのか? と懸念したくなる「現実」は小説の知ったことではない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 うつくしい女性たち[片岡義男ボックスセット02] 片岡義男/片岡義男.com編集部 初めて読む人にも、再び読む人にも。「片岡義男.com」編集部がお届けするボックスセット。 片岡義男の小説の女性たちは、まずその姿かたちにおいて例外なく美人であり、よく伸びた背筋としなやかな脚、健康に発達した太腿を有している。 そのうえ、男を必要としないタフネスを備えているから最強だ。 そしてもちろん、傍らに男がいることでより輝く、という厄介な特性も。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 825円 再会は避けられない[片岡義男ボックスセット03] 片岡義男/片岡義男.com編集部 再会は、過去と現在を二重に浮き彫りにしてしまう。 少なくとも2人いなければ再会にならないから、最低でも4種類の時間の組み合わせが物語を動かしていく。過去には叶わなかったもの。現在が失ったもの。その痛み。 それとは逆に、時を経て獲得した大きな愛、のようなものもまた、そこには流れているはずだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 825円 2人のゆくえ[片岡義男ボックスセット01] 片岡義男/片岡義男.com編集部 偶然とは思えない強い出会いだが、それを運命と見なすほど不自由でも甘えてもいない。 島で、病院で、手紙で、2人の思いが交錯する。 1人の時間、自分自身の時間を十分に生きた1人と1人が接触して初めて奏でられるあたらしいハーモニーがそこにある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 825円 イアリングをつけるとしたら 片岡義男 編集者と書き手の情事。 ここでは編集者が男性であり、書き手はまだ書くことの経験が十分ではない。 小説とは、いかにして書かれるものなのか。 会話の中から、そして動作を伴う、あるモノからそれは生まれる。例えばイアリング。 男には得られない視点からイアリングを見て、そのことを構築できればすなわちそれが彼女の小説だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 いつか聴いた歌 片岡義男 不幸な亡くなり方をした父親から唯一の財産として娘は歌を贈られた。 長じてカントリー歌手になった娘は父の曲に自ら詞をつけて歌うようになる。 ところがその歌を、どうやらもう1人、歌っている女性がいるらしい。 自分しか知らないはずの歌なのに。 このミステリーの前に現れるのが愛すべき21歳の私立探偵アーロン・マッケルウェイだ。 もう1人の女性はいったい誰なのか。 全篇、電話による会話だけで進んでいく哀切な物語。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 一生に一度かしら 片岡義男 たいへんに魅力的な女性がいて、彼女と寝たい、それが実現するなら百万円払ってもいい、と男が口にする。 話だけなら冗談か下衆な話題として済んでしまうが実際にそれが実現され、女性もあっさりとそれを飲んでしまうともはや外野がどうのこうの言う問題ではない。 「一生に一度かしら」などと笑いながら、百万円を支払い得ない男たちの視線の先をグラビアの彼女が涼しくすべっていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 一等星の見える窓 片岡義男 今日こそは会いたい女性がいる。 いつもならしない残業もこなし、時間をつぶそうとするもなかなか電話は通じない。 持て余した時間のあいだに幾人もの女性が登場しては去っていく、そのよるべなさも片岡作品にはおなじみの展開だろう。 やや深い時間になって、ようやくキャッチ。 そこまで時間が経過したのだから、夜空の遅い初夏でも、彼女の体の向こう側に一等星が見える。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 エクストラ・ドライ 片岡義男 エクストラ・ドライのジンは、かなりキツい。 それがこの、何も起こらないといえば起こらない、おだやかなはじまりの、派手ではないが祝福に満ちたごく短い短篇のタイトルに選ばれているのはなぜか。 男女のうち、視点は女性の側にある。 ヒントは、ラストの1人飲みのシーンにあるのかもしれない。 いや、それはほんとうになんでもない、なにものをも象徴しない、ただのエクストラ・ドライでありただの1人飲みかもしれないのだけれど。 さてあなたはどう読みますか? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 男友だち 片岡義男 片岡作品に登場する女性たちの多くは社会通念ではなく、自分自身の中にモラルを持つことで徹底している。 例えば結婚。結婚しないことを貫くこと、あるいは結婚することを選択したうえで他の男性と没交渉にならないことを選ぶのも彼女たちの流儀である。 それは制度や通念への反抗ではなく、自分で決めたい、ということにつきている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 きみはただ淋しいだけ 片岡義男 この短篇小説を読み終え、あらためてタイトルを見ると、いかにも的確で、同時に残酷に思えてくる。 10年前の輝きを、その当時の風景を目の当たりにしていくらでも語ることができるのは、現在にその輝きが失われているからだ。 かつて選んだ男が去り、選ばなかった男が新たにやってきた、という単純な話ではない。 あの輝きはもはや、確実に消えてしまったのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 粉雪のつらく降るわけ 片岡義男 未来へと目を向けてある決断を下しても、それは現在が見ている風景でしかないからやがてその時がやってきた時点でかつて未来だった幻想から悪戯される、ということはあるだろう。 卒業と結婚を同時にやろう、という青年の性急さと、かつて手を切ったものに再びからめとられる弱さは、矛盾しない。 同時にそれらを抱えたまま彼は人の世の洗礼を受けることになる。 それを優柔不断と呼ぶのは簡単だがそのことよりも今、まさに直面していることの悲しみのほうに粉雪が寄り添っている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 さっきまで優しかった人 片岡義男 唖然とする展開、といってもいいかもしれない。 しかも2度。この短さの中で2度、唖然とできる。 舞台設定が、サスペンスの効果を高めている。 ここで「本気だ」と言われているセリフは言葉通りに受け止めるべきであり、それを怖ろしいと思うかあるいは微笑ましいと思うことだって、読者の自由である。 もしかするとこれは新手のSMプレイかもしれない。 そう読むのもまた自由である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 さようならの言いかた 片岡義男 若い男女がいる。恋人同士ではない。 大切な人を亡くした同士だ。 男にとっては親友。女にとっては恋人。 深い悲しみの中にありながら女性は彼女なりの仕方で追悼を、そして別れを試みる。 それは恋人だった男性を彼女のやり方で理解しようとすることであり、その場所に行ってみることであり、それをやりきったら二度とやらないことでもある。 そのやり方にそっと、親友が寄り添う。 見事なその別れを、彼女は完璧に美しくやりとげる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 ダブル ミント 片岡義男 完全に対等な、男女の関係がある。 共に過ごす時間は快適で、偽りがなく無理なところが少しもない。 そうした対等の関係が1日のあいだに連続して起こり、女性の側がすべて同一人物であったとしてそこで起こっていることはいったい何か。 何でもない、というのがおそらくこの小説の回答であり、1対1の関係がただ1個ではない、ということがそこにあるだけだ。 窓から空を見る、という行為であたかも自分をニュートラル・ポジションに戻しているかのような主人公の所作に魅了される。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 275円 1 ... 959697 ... 106 TOP 電子書籍(本・小説) ボイジャー 96ページ目