これからの時代を生き抜くためのジェンダー& セクシュアリティ論入門
三橋順子(著)
「性」の有り様を知ることで、私たちはもっと自由になる。
伝えたいのは「違いがあってもいいんだよ」――
トランスジェンダー研究者による10年以上続く明治大学での講義、待望の書籍化!
【内容】
本書は、2012年の開始以来、毎年300人以上の学生が受講する明治大学文学部の『ジェンダー論』の講義録を基に執筆されたジェンダー&セクシュアリティ論の入門書です。
自らの「性」と社会的な「性」のしくみについて真剣に考え、多様な「性の有り様」を知ることは、もはや、すべての人々にとって避けて通ることのできない今日的な課題と思われます。
LGBTQ+、同性婚、トランスジェンダー、ジェンダー・アイデンティティ…といった最近よく耳にする言葉についても分かりやすく解説していき、さらに性的マイノリティとして社会を生き抜いてきた著者が、実際に体験してきたこと、考えてきたことも多く反映された一冊となっています。
【主な内容】
◎性別二元社会の仕組みを知る
◎明治~昭和戦前期の政治家や軍人が髭を蓄えていたわけ
◎「ジェンダーをする」という考え方
◎身体構造の性差にジェンダーが付与される
◎なぜ日本は「女子差別撤廃条約」を批准できなかったのか
◎いまだに存在する「見えない壁」や「ガラスの天井」
◎「ホモソーシャル」な関係を志向する男性たち
◎歴史的に見て特異な存在、専業主婦
◎「女性の乳房は大きいほどエロい」という認識はいつ生まれたのか
◎江戸時代の男は、うなじに興奮していた?
◎性規範の「サムライ(侍)ゼーション」
◎本当の足フェチは「足だけ」を求める
◎欧米には存在しない「痴漢」という概念
◎人の身体は女性が基本「イブ原理」
◎インターセックス(性分化疾患)とはなんなのか
◎ジェンダー・アイデンティティの正しい訳語は、性同一性
◎人間の「性」は三層構造をなしている
◎死語に近い「性同一性障害」という言葉を使い続ける日本
◎「LGBT」という言葉はいつ頃から使われるようになったのか
◎新しく生まれた言葉「SOGI」「SOGIE」
◎「LGBTは13人に1人」というのは本当か?
◎同性パートナーシップ制度の現状
◎トランスジェンダーとは何か
◎性別移行と生殖権
◎「Xジェンダー」とは何か
ほか
【目次】
◆第1講 「性」を考えることの意味
◆第2講 ジェンダーを考える
◆第3講 セクシュアリティを考える
◆第4講 「性」の4要素論
◆第5講 「性」の多層構造論
◆第6講 「性」の多様性論
◆第7講 日本初のトランスジェンダーの大学教員として
【著者プロフィール】
三橋順子(みつはし・じゅんこ)
1955 年、埼玉県秩父市生まれ、Trans-woman。性社会文化史研究者。明治大学文学部非常勤講師。専門はジェンダー&セクシュアリティの歴史研究、とりわけ、性別越境、買売春(「赤線」)など。
著書に『女装と日本人』(講談社現代新書、2008 年)、『新宿「性なる街」の歴史地理』(朝日選書、2018年)、『歴史の中の多様な「性」―日本とアジア 変幻するセクシュアリティ』(岩波書店、2022 年)がある。
主な論文に「LGBT と法律 ―日本における性別移行法をめぐる諸問題―」(『LGBT をめぐる法と社会』日本加除出版、2019 年)、「「LGBT」史研究と史資料」(『ジェンダー分析で学ぶ 女性史入門』岩波書店、2021 年)など。 1,760円