走れメロス
購入した作品の読み方あらすじ
人間の信頼と友情の美しさを、簡潔な力強い文体で表現した『走れメロス』など、安定した実生活のもとで多彩な芸術的開花を示した中期の代表的短編集。「富士には、月見草がよく似合う」とある一節によって有名な『富嶽百景』、著者が得意とした女性の独白体の形式による傑作『女生徒』、10年間の東京生活を回顧した『東京八景』ほか、『駆込み訴え』『ダス・ゲマイネ』など全９編。
レビュー・口コミ（1件） 一覧へ
太宰治が好きという人が嫌いだった。太宰治が好きだと聞くたび、好きという純粋な気持ちとは別の、自分はペーソスを理解する人間だとアピールするような、何かしらこだわったものを感じていた。それが邪推偏見なら改めようと思って読んだわけではないが、はじめて太宰治を読んだ。そして見事にハマってしまった。この赤裸々で素直な文章の、あなたならわかるでしょう、という信頼感に馴れ馴れしさを感じるか、妙な親しみを感じるか、好き嫌いに分かれる指標はこれに尽きるのではないだろうか？
5点