人間失格
購入した作品の読み方あらすじ
「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。だれもが自分のことだと思わせられる、太宰治、捨て身の問題作。
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レビュー・口コミ(2件) 一覧へ
何気なく読み始めたら引き込まれて止まらなくなった作品。誰もが思ってる罪悪感だったり劣等感なんだろうな、と思う
4点誰もが表の顔と裏の顔、二つの顔をもっている。人に愛されたい、人間的に生きたいという欲求から、打算的な考えに基づいた醜い心を隠し、明るく朗らかで無邪気な人を演じようとする。本書『人間失格』の主人公である葉蔵は人一倍繊細な心をもつゆえ、その表裏のギャップに思い悩み最終的には狂人に成り果ててしまった。人らしく生きようとして人の道を外れてしまうという救いのない結果に絶望を感じたが、表裏の顔を持つ以上私も客観視できる立場ではなく、背筋にうすら寒い感覚を覚えた。