堕落論
購入した作品の読み方あらすじ
単に、人生を描くためなら、地球に表紙をかぶせるのが一番正しい――誰もが無頼派と呼んで怪しまぬ安吾は、誰よりも冷徹に時代をねめつけ、誰よりも自由に歴史を嗤い、そして誰よりも言葉について文学について疑い続けた作家だった。どうしても書かねばならぬことを、ただその必要にのみ応じて書きつくすという強靱な意志の軌跡を、新たな視点と詳細な年譜によって辿る決定版評論集。
レビュー・口コミ(1件) 一覧へ
変化を恐れてはいけない。一度堕ちてみろ。大丈夫、人間は堕ちきれるようにはできていない、、というような流れで読者の背中を猛プッシュする本作『堕落論』。発表されたのが終戦直後ということだけあって、新時代に向けた溢れんばかりの気力が感じられる作品である。多少切れ味が鋭すぎる印象を受けたが、この考え方の根本的な部分は現代でも十分通用するものだと感じた。「生きよ堕ちよ」という力強い言葉が忘れられない。