オリガ・モリソヴナの反語法

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あらすじ

1960年、チェコのプラハ・ソビエト学校に入った志摩は、舞踊教師オリガ・モリソヴナに魅了された。老女だが踊りは天才的。彼女が濁声で「美の極致!」と叫んだら、それは強烈な罵倒。だが、その行動には謎も多かった。あれから30数年、翻訳者となった志摩はモスクワに赴きオリガの半生を辿る。苛酷なスターリン時代を、伝説の踊子はどう生き抜いたのか。感動の長編小説。第13回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。

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  • 2003年Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した「オリガ・モリソヴナの反語法」は第一級ロシア語同時通訳者・米原万里さんによる長編小説です。幼少期にチェコ・プラハのソビエト学校に留学していた志摩は大人になってから、舌鋒鋭いけれど卓越した舞踊教師であったオリガ・モリソヴナの過去の謎に迫っていくという内容で、著者自身の経験を下敷きにした作品です。共産主義の国が抱える問題をまざまざとあぶり出しながらも、一方では日本の画一的な教育とは違う生徒の才能と個性を最大限に伸ばそうとするソ連式教育方法の良さも伝えており、非常に深く重い作品です。題材は重い内容なのですが、著者のユーモアあふれるイキイキとした描写力で暗さは感じず、グイグイと読み進められます。

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    MMYYMMさんさん