悪の教典(上)
購入した作品の読み方あらすじ
晨光(しんこう)学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAをも虜にしていた。しかし彼は、邪魔者は躊躇なく排除する共感性欠如の殺人鬼だった。学校という性善説に基づくシステムにサイコパスが紛れこんだとき──。ピカレスクロマンの輝きを秘めた戦慄のサイコホラー傑作。
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レビュー・口コミ(2件) 一覧へ
第1回山田風太郎賞受賞、第144回直木三十五賞候補、第32回吉川英治文学新人賞候補、2011年本屋大賞ノミネートと凄まじい人気を見せた『悪の教典』。もはや貴志祐介の代表作とも言えるかもしれません。『黒い家』や『青の炎』など映画化することも多い貴志の中でも、映画の評判がかなり良かったです。内容としては教師がサイコパスで生徒を殺しまくる、という一言に尽きます。わかりやすいので万人受けするのだと思いますが、『青の炎』のように内面を描く作品ではありません。ジェットコースターに乗ったように簡単にスリルを楽しみたい方にオススメです。
今まで創作の中に出てくる教師、先生というのは生徒を守る良き手本、というのが常だった。そんな中守ってくれるはずの教師がサイコパスというセンセーショナルな内容で話題を呼び、このミス受賞や映画化もした「悪の経典」。期待が大きすぎたのかもしれないが正直私はこの作品が好きではない。蓮実は狡猾で残忍という設定なのだが実際は短絡的で直情的であり、私が期待した頭脳戦や高度な駆け引きは作中にはほとんど登場しなかった。しかし近年の事件の報道をみているとその多くの犯人たちは蓮実のように衝動で簡単に人の命を殺めている。真剣に子供たちの安全を考える必要があるのかもしれない。