陰陽師(おんみょうじ)

購入した作品の読み方

あらすじ

時は平安時代、京の都に安倍晴明という名高い陰陽師がいた。まだ闇が闇として残り、夜になれば人も、鬼も、物の怪も、同じ都の暗がりに、息をひそめて住んでいた時代だ。安倍晴明は従四位下、大内裏の陰陽寮に属する陰陽師。死霊や生霊、鬼など、普通の人間には見えない、妖しのものどもを相手に、この世ならぬ不可思議な難事件をあざやかに解決する。親友の源博雅は、霊感はまるでないが、刀では敵なしの強さ。力を合わせて物の怪に挑む。野村萬斎・主演で映画化された原作!

レビュー・口コミ(1件) 一覧へ

  • 泉鏡花文学賞や吉川英治文学賞などの文学賞や日本SF大賞を受賞するなど、多様なジャンルで一線級の活躍をされている夢枕獏先生の代表作の一つがこの『陰陽師』シリーズ。映画や漫画、2度にわたってのテレビドラマ化などその魅力から複数のメディアで展開されるほどの人気作です。読んでみると、映像作品や漫画では表現しきれない小説ならではの魅力が感じられます。その魅力を生んでいるのが作中のあえて多くを描写しない淡々とした文章です。主人公の陰陽師、安倍晴明と相棒の武士、源博雅の掛け合いをあえて淡々とした会話で表現することで、親友の間の多くを語る必要のない空気というものが感じられて気持ちがよいです。また、冗長さを削ぎ落すことで話も非常にテンポがよく展開され、しんみりとした空気も張りつめた緊張感も過不足なく表現されています。登場人物もみな魅力的ですが、何より魅力的なのが相棒役の源博雅です。貴族で武人の博雅は霊的な能力はないのですが、とても純朴で素直で飾らない人柄です。淡々とした掛け合いの中にも彼の人柄の良さがにじみ出ており、浮世離れしたところのある晴明を浮世に繋ぎ止めているのもこの博雅という人物なのでしょう。

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    aplpalpaさん