星々の舟

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あらすじ

家族だからさびしい。他人だからせつない──禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄と、いじめの過去から脱却できないその娘。厳格な父は戦争の傷痕を抱いて──平凡な家庭像を保ちながらも、突然訪れる残酷な破綻。性別、世代、価値観のちがう人間同士が、夜空の星々のようにそれぞれ瞬き、輝きながら「家」というひとつの舟に乗り、時の海を渡っていく。愛とは、家族とはなにか。03年直木賞受賞の、心ふるえる感動の物語。

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  • 理想の家族像を保ちながらも、ある出来事をきっかけにこわれてしまった家族の、苦悩と再生を描く小説「星々の舟」。辛く苦しい過去やままならない現実を抱える6人の家族。中には壮絶なエピソードもあり、ファンタジックなタイトルとは裏腹に、重いテーマを扱った作品です。それでも個々の視点から語られる家族の姿は凛としてやさしく、この家族の幸せを願わずにはいられない、そんな思いになりました。ラストシーンでの次男・暁と長女・紗恵のやり取りは印象的です。「また会える?」「当たり前のこと訊くな、兄妹だろ」いつか家族は家族として再生できる。そんな希望を感じさせてくれました。

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    むぎぐらふぃっくすさん