新・平家物語(十四)

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あらすじ

平家には、もう明日はなかった。さかまく渦潮におのれの影を見るごとく、壇ノ浦に一門の危機感がみなぎる。寿永4年3月24日の朝、敵味方のどよめきのうちに戦は始まった。単なる海戦ではない。海峡独特の潮相と風位の戦である。潮をあやつり、波に乗るもの、義経か知盛か――。その夜の星影も見ず、平家は波騒(なみさい)に消えた。波の底にも都の候う、との耽美的な一語を残して。