桜雨~渡り用人 片桐弦一郎控(二)~
購入した作品の読み方あらすじ
――旅姿の男を襲う二人の浪人。仲裁に入った片桐弦一郎は、仲違いで負傷した浪人を長屋に連れ帰る。その男は信濃の元藩士で、意趣返しで襲ったという。二日後、暇乞(いとまご)いをした男の死体が発見された! 憤る弦一郎の前に、信濃飯坂藩元執政・千坂兵庫(ちさかひょうご)から使いが来た。どうやら男はお世継ぎ問題に絡む政争の犠牲になったらしい。弦一郎は、千坂の依頼で信濃へ旅立つが……。
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桜雨~渡り用人 片桐弦一郎控(二)~は、以前に内藤家の渡り用人をつとめた際の活躍ぶりをかわれて、信濃の国に赴くことになった片桐弦一郎。きっかけとなる浪人が同じように職を失って仲間のはずの浪人に斬られるシーンなど、経過部分でとても凄惨ないじめのシーンが登場します。そのむごたらしい状態からの問題解決なので、結末のあたりまで読むまでの高揚感があります。大人の世界のいじめの構造は現実にも架空の世界でもあまり目にしたくないものですが。冷たい水の中で紙の原料をさらす、紙漉きの手法についても物語にさりげなく取り入れられており私自身がまるで信濃の国に行ってこの目でみているかのような臨場感を味わうことができました。