白い霧~渡り用人 片桐弦一郎控~

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あらすじ

次期藩主の座をめぐる政争が幕府に発覚し、安芸津(あきつ)藩はお取り潰しとなった。江戸藩邸詰めの片桐弦一郎は、浪人となり、神田の裏長屋で暮らしている。突然の改易(かいえき)でこの世の無常、悲哀を知った弦一郎は、傭われ用人として、苦しい内情ながらも体面だけは重んじる武家屋敷の建て直しを図る。―市井(しせい)の人々の縺(もつ)れた事件を人情味豊かに始末する、傑作新シリーズ。

レビュー・口コミ(1件) 一覧へ

  • 白い霧~渡り用人 片桐弦一郎控~は渡り用人・片桐弦一郎シリーズ第一作目です。浪人・片桐弦一郎はひょんなことから地主の武蔵屋のつてで内藤家の用人を通いで勤めることになります。その中でかかわった内藤家後継ぎの辰之助や、辰之助の借金を取り立てる青茶婆、おきん、そして内藤家知行地の住民たちの変化に心躍らせながら読み進めることができました。陰湿ないやがらせや、気持ちがふさぎそうになる現状と向き合いながらも希望をとりもどしていく姿に感動しました。華やかな物語ではありませんが、現代社会においても弦一郎のようにある日突然職を失う人は少なくありません。ぜひそういう不幸な出来事に遭遇してしまった人にまるまるそっくりの状況はまずないと思いますが、窮状から立ち上がる彼らを見て、元気になってもらいたいなと思いました。

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    アンズジャムさん