空飛ぶタイヤ(上)
購入した作品の読み方あらすじ
走行中の大型トレーラーが脱輪し、はずれたタイヤが歩道を歩く若い母親と子を直撃した。トレーラーの製造元ホープ自動車は、トレーラーを所有する赤松運送の整備不良が原因と主張するが、社長の赤松は到底納得できない。独自に真相に迫ろうとする赤松を阻む、大企業の論理に。会社の経営は混迷を極め、家族からも孤立し、絶望のどん底に堕ちた赤松に、週刊誌記者・榎本が驚愕の事実をもたらす。(講談社文庫)
レビュー・口コミ(3件) 一覧へ
実際にあったタイヤ脱輪事故を彷彿させる内容で会社内のやりとりもリアリティーを感じる内容だった
4点『下町ロケット』で第145回直木賞を受賞した池井戸潤の人気作『空飛ぶタイヤ(上)』。走行中の大型トレーラーが突然脱輪し、はずれたタイヤが母子を直撃するという不幸な事故が起こってしまったところから話は始まります。トレーラーの製造元と、トレーラーを所有する運送会社が事故原因をめぐって直接対決となり、運送会社の赤松が事件の真相に迫るのですが…?池井戸作品には珍しく上下巻で構成されていますので、下巻に続きます。
個人的にはこの空飛ぶタイヤは、池井戸作品の中でも最高峰の企業小説ではないかと思っている。
トレーラーの脱輪事故から始まる、構図はよくありがちな財閥系大企業VS中小企業ではあるが、主人公(中小企業の社長)を取り巻く人間関係(家族、社員、銀行、得意先等)が実によく描かれておりノンフィクションではないかと思わせるくらいリアリティがある。現実にも下請の中小企業の経営者の苦労を少し手でも知ることが出来る作品。
下手な経営書を読むより何倍もこちらの方がいいのではないかと思った。