其の一日
購入した作品の読み方あらすじ
吉川英治文学新人賞に輝いた傑作短編集。安政7年3月3日、井伊家の密偵・可寿江(かずえ)は水戸浪士の不穏な動きを察知し、主君でかつて恋人でもあった直弼に通報しようとするが。「桜田門外の変」「箕輪心中」などの事件を題材に、江戸市中で懸命に生きる人々の、運命を変えた1日を描いた時代小説短編集。全4編を収録。<第24回吉川英治文学新人賞受賞作>
レビュー・口コミ(1件) 一覧へ
吉川英治文学新人賞受賞作品です。4つの短編から構成。当たり前の毎日も、人生の岐路となる一日であったり、心して迎える一日であったり・・・私は第2話の「蛙(かわず)」がとても好きです。真面目で子煩悩な夫とかわいい子供たち、ちょっと厳しい姑に囲まれて暮らす平穏な毎日を送る妻が主人公です。ある日の午後、家を訪れた武士の知らせは、夫が女郎と心中した事実。彼女の「其の一日」はこの時から深夜にかけての翌日だと思います。夫、義母、自分、と交錯する人間模様に心うたれます。