子どもたちは夜と遊ぶ(上)
購入した作品の読み方あらすじ
始まりは、海外留学をかけた論文コンクール。幻の学生、『i』の登場だった。大学受験間近の高校3年生が行方不明になった。家出か事件か。世間が騒ぐ中、木村浅葱だけはその真相を知っていた。「『i』はとてもうまくやった。さあ、次は、俺の番――」。姿の見えない『i』に会うために、ゲームを始める浅葱。孤独の闇に支配された子どもたちが招く事件は、さらなる悲劇を呼んでいく。(講談社文庫)
レビュー・口コミ(5件) 一覧へ
タイトルと表紙から想像したものとは全然ちがくて、ビックリしてしまいました。こわい!けどおもしろい!上下合わせて結構な量の活字ですが一気に読んでしまいました!
5点是非他の作品も読んでいただいて、こちらの本との結びを見つけてほしい。
5点怖いけど、大好きな本。登場人物達が皆愛すべき存在。大好きです。
5点「子どもたちは夜と遊ぶ」は、意図せずして連続殺人に手を染めていく男子大学生と、それを取り巻く学友の姿を描いた作品です。最初は飄々とした天才肌の大学生として登場した彼。そのキャラクターに隠された心の葛藤、さらに壮絶な過去と、殺人を重ねていく中で徐々に壊れていく様が、とても巧みに描かれています。キャラクターには魅力があり、それぞれの深層心理を巧みに描いたストーリー展開もすばらしく、面白い作品だとは思います。ただ殺人や虐待などかなり痛ましいシーンが出てきますので、それが苦手な方にはおすすめしません。また殺人を犯した彼に対する友人のやさしさと、ラストの展開は個人的にはちょっと違和感がありました。「ぼくのメジャースプーン」には登場人物が再登場し、本作では謎の部分だったことも明らかになります。
辻村作品の中でも初期の方に位置する、『子どもたちは夜と遊ぶ』。ミステリー要素が強く、虐待、連続殺人などダークな内容です。幼いころ施設で育った木村浅葱が、生き別れの双子と会うために殺したくないのに人殺しをします。ここまで悲しい殺人犯は見たことがありません。浅葱の苦しさに共感し、泣いてしまうほどです。そして望まない殺人を繰り返しながら浅葱はどこに向かうのか。(下巻に続く)